あちちな夏の物語り Kiracaga side
暑いのは苦手だ。
「事前準備はちゃんとしておいたほうがいいよ」
アスランは何の事だかわからないようだったけど、すぐに来たカガリとラクスの姿を見てわかったようだった。
乗り気ではなかった海。
「キラ、泳ぐぞ」
「うん」
滅多に見れないであろうカガリの姿を見れるならという理由もあるけど、カガリが行きたくて仕方がないという顔をしていたから来た。
来たら嬉しそうにする彼女が見れると思ったから。
「競争するぞ!」
そうしてしばらくカガリと泳ぐ事となった。
はじめは競争と言っていたカガリも次第に競争ではなく、一緒に潜ったりしていた。
「カガリ、少し休まない?」
水面に顔を出したカガリに手を伸ばす。カガリはその手を取ってくれた。
パラソルの所へ戻るとアスランとラクスはいなかった。
ここまで繋いできた手を離して僕はパラソルの下に座る。カガリのそのまま僕の隣に座った。
「本当は海、嫌だったんじゃないか?」
「え?」
体育座りをして膝に顔を埋めるようにしているカガリ。
気付かれていないとは思ってなかったけど突然の問い掛けに聞き返してしまった。
「確かに嫌じゃないと言えば嘘になるけど、来てよかったって思ってるよ」
「そ、そうか」
「うん」
少しだけ向かれた顔が照れたのを隠すように膝にまた埋められると嬉しくなる。
「キラっ!」
「はいっ」
勢いよく肩を掴まれたため思わずそんな返事をしてしまった。
何かを言いかけて口を開いて、閉じての繰り返し。視線だけは変わらず僕を真っすぐ見つめてくる。
「その、な」
「うん」
急かさずに待ってみる。
日陰とはいえ気温は高く、身体は熱い。もちろんカガリの手も熱かった。
でもこの熱さは好きだ。
「似合うか!?」
「へ?」
暑さのせいなのかその言葉を言おうとしたせいなのか、カガリの顔は赤かった。
肩を掴まれた時のように勢いにのまれて一瞬何の事かわからなかったけどすぐにわかる。
「似合ってるよ、水着」
「よかった」
安心したのかカガリの手は僕の肩から離れた。
この状況で似合うかと聞かれれば水着しかない。
海に来る際にさりげなくカガリの水着姿が見たいなんて言ったぐらいだし。
「でもビキニなのは予想外だったかな」
「そうか?」
オレンジ系統のビキニはカガリにとても似合ってる。でもやっぱり意外だった。何というか予想していたよりも……。
「キラ?」
「あっ、ごめん」
つい考えふけってしまった。そして一つの結論に達する。
「カガリ、これ着て」
「これって……パーカーか?」
先ほどまで僕が着ていた半袖のパーカーを差し出す。
「そのまま海入っちゃってもいいから」
「そしたらキラが困るだろ」
案の定突き返されるパーカー。それを受け取ろうと見せかけて、手はカガリの身体へ伸ばした。
「っ!?」
「ビキニは見てみたかったけど予想以上に可愛いからだめだよ」
胸と腹の間の布がない部分に触れる。少し指を滑らせると僅かにカガリの身体が動いた。
「だ、だめって何だよっ」
「見せたくないって事。パーカー着てくれないなら……」
引きはじめていたカガリの顔の赤みがまた濃くなる。その様子に笑いながら、指を上へと滑らせる。さっきよりも湿ってる気がするのは、カガリの汗なのか僕の汗なのか。
布の中へと入りかけた瞬間カガリの身体が離れた。
「残念」
「残念じゃない!」
怒りながらもカガリはパーカーを着てくれた。これ以上の事はするつもりはなかったけどやっぱり残念と思ってしまう。
「キラ」
「ん?」
「キラのために着たんだからな」
近づいて上目遣いで言われる。反応が遅れてしまったけど、すぐにカガリを肩を引き寄せる。
「僕以外だったら許さないよ」
カガリは笑って、頬と頬が触れ合った。
やっぱり暑いけど、この熱さは好きだ。
H20.7.26
book /
home