そんな夏の他愛もない一日


 


「そんなのやってみなきゃわからないじゃない」
「いーや、無理だ」

夏も終わり間近。
暑いと感じる時間は短くなっていたが、ここはいきなり白熱バトルを繰り広げていた。

「何してんの、この二人」
「けんか?」
「シンくん、かき氷用意して!」
「シロップもだ!」

アウルを見るとアウルも同じ事を考えていたのか手を出した。

「「じゃーんけん」」

ぽんと両者は手を出す。

「んじゃ、シロップ買ってくるから」
「そんないい笑顔で……」

敗者の証であるパーをそのままにいまだいがみ合う二人を見つめた。
簡潔に言えばキラさんが夏に弱いためアスランさんが心配した。もちろんキラさんは大丈夫だという。
そして何か冷たいものがほしいというとアスランさんは身体を冷やすと。そして何故か昔話になりかき氷の話になり……見ていた俺自身も会話の流れについていけない。
要はかき氷早食い対決になってしまった。
二人の会話を聞いていて本当昔からの友達というのは遡るときりがないのだと知る。

しかし気まずい。
だからこそシロップを買うという口実で一時的にでもここから抜け出したかった。

「な、夏以外だとあまりかき氷って食べませんから食べておかないと損ですよね」

何とか場を繋ごうと雑談を持ち掛けてみる。

「食べすぎはいけないけどな」
「そんなヤワじゃないでしょ」
「ほどほどがいいですよね、ほどほどが」

当たり障りなく言ったつもりがキラさんに見られる。
ただ見られただけなのに刺さるような視線というか、何か脅されてる気持ちになるというか。

「外でなら暑いですしたくさん食べられますよね」

こんなころころ意見かえるのは嫌で仕方ないけどこの場凌ぎなんだ。というか何で俺がこんなめに。

「暑かろうが寒かろうが身体を冷やすものは冷やす」
「そんな事言うなら暑さにも寒さにも耐えろって言うの?」
「そうじゃない。キラは極端なんだよ」
「たっだいま〜。あれ、まだやってんの?」
「まだって……」

ようやくシロップ到着。
時間を見るとさほどかかってないけど実際の時間以上の長さを感じた。

「適当にやればいいじゃん。変な気回すからとばっちり受けんだよ」
「別にそんなんじゃないけど」

俺は氷の用意をしようと立ち上がった。

「あ、僕も参戦するから作ってよ」

つくづく面白そうな事には首をつっこみたがる奴だと思いながらため息を吐いた。


「俺がはじめと言ったらはじめて下さい。シロップは全員同じ量にしてあります」
「きちょーめんだな〜」
「シロップで溶かすということはできなくなるね」
「やるなら真っ向勝負だ」

三人の前には氷とシロップを入れたカップが二つ。
アウルが参加する事に二人は特に何も言わず、三人でかき氷対決をやる事になった。
早くはじめないと溶けはじめてしまうため俺ははじまりの合図をだした。

「はじめ!」

一斉にシロップを氷にかけて崩しにかかる。しゃりしゃりといういい音が響く。しかし絵面的にはいいものじゃない。

先に口に掻き込みはじめたアスランさん。すぐにカップから口を話してこめかみに指をあてている。いわゆる頭がきーんというやつになっているのだろう。

次にキラさんは……ひたすら氷にスプーンを刺していた。氷とシロップが一体になるまでやるつもりに見える。

最後にアウルは普通に食べ……終わっていた。

「はやっ!」
「「え?」」

俺の声にアスランさんとキラさんが反応する。アウルを見て手が止まる二人。

「普通に食べればいいじゃん」
「にしても早いだろ」

アウルは得意げな顔をしてアスランさんとキラさんを見る。

「勝つって気持ちいいよね〜」
「またそんないい笑顔で……」

普段二人にはやられっぱなしなところがあるからこんなのもいいかもしれない。
喧嘩する二人を見るなんてこともなかったし。そういうのも見れて楽しかった。
そんな夏の他愛もない一日。



H20.8.26



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