今まで見てきた彼女
案内されいつものようにミーアからの応答後ドアが開いた。
「ミーア?」
姿が見あたらず呼び掛ける。確かにミーアが応対しドアが開いた。なのにいつも笑顔で出迎える彼女の姿がない。
部屋の奥へと足を踏み入れる。姿は見えないけれど視線を感じる。しかし姿を隠せそうな場所などこの部屋には多くない。
足を進ませソファの陰を見てみてもいない。
ということは机しかない。
「ミーアいないな」
わざとらしく聞こえるように言いながら机に腰かける。少し間を持たせて立つ。
「見つからないし帰ろうかな」
言った瞬間机からぶつかった音が聞こえた。
「何やって、え?」
呆れながら回り込み屈んで、いるであろうミーアに視界に入れて驚いた。
「シン……いたい」
机の下で頭を押さえていたのは確かにミーアだった。でも幼い子供の姿になっていた。
「だから隠れてたの?」
「説明することもできないと思ったら隠れちゃった」
手を差し出し机の下からミーアが手を取り這い出してきた。
「夢?」
「ならいいんだけど起きたら小さくなってたの」
這い出してきたミーアをまじまじと見つめる。そのまま幼くしただけ。
でもいつもより元気がなさそうに見える。
「どこか痛いとかは?」
「ないわ」
「まあ、また寝たら戻るかもしれないし戻らなかったら相談してみよう」
再び手を取って引くとミーアは見上げて見つめ、頷いた。
ソファまで歩いていき座るとミーアが軽くジャンプして座る姿を見て背丈が小さいことを実感する。
「やっぱり不安だよな」
「え?」
座ってから俯くミーアに言うと聞き返されて違ったのかと思う。
「やっぱり小さいと不便だろうし」
「それはあまりこの部屋ではないんだけど……何だか別の人みたいなの」
「別の……」
すぐに思い当たり何と言えばいいか迷う。ミーアはデュランダル議長に言われてラクスさんと同じ容姿になったと言っていた。つまり今のミーアの姿は幼くてもミーアの幼少期の姿ではないということだ。
「ラクスさんってやっぱり小さい頃から可愛いんだなとか知れたのは良かったんだけど」
「姿は変わってもミーアだろ」
「うん……」
そんなことしか言えない。ミーアの気持ちがわかるはずがない。自分が知らない自分の姿なんて想像もできないのだから。
「俺は今のミーアの姿を見てミーアとしか思わなかった」
「本当に?」
「どんな姿でもミーアはミーアだけど、俺は今のミーアしか知らないから」
自然と目が逸れていてミーアに視線を戻すとやはり俯いたままだった。
「そう、よね。びっくりしたから変なこと考えちゃった」
「変じゃないよ」
上を向いて小さな手を握る。言いにくいことだったろうに言わせてしまった罪悪感もあるけれど我慢されるよりは言ってもらえたほうが良かった。
「……うまく言えなくてごめん」
「ううん、今のあたしをちゃんと見てくれて嬉しい」
見上げて笑顔を向けられる。
「小さいあたしを見て幻滅されたらどうしようかと思った」
「幻滅?」
「だって胸もお尻もなくなるから」
その発言にミーアらしいなんて思ってしまう。
立ち上がって不思議そうに見上げるミーアを横抱きにした。
「抱きあげやすいからいい」
「どういう意味?」
そんなやりとりをしながら笑い合う。
「ミーアの歌聞かせて」
あまり言ったことはないけど今伝えたいと思った。ミーアの歌声が好きなんだと。
今日一番の笑顔は幼くなっても今まで見てきた彼女と同じものだった。
H26.12.10
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