閑話・ミー&キラ編


 


キラは生徒会室にいる。シンと連絡がとれないのも見つからないのも彼の仕業だと直感が告げていた。

「廊下を全速力で走るのはいけないよ」

生徒会室のある階にたどり着き廊下を駆けていると生徒会室より手前の教室から声がして慌てて止まった。

「何でそんなところに……」

まるであたしがここに来ることがわかっていたかのように扉に佇んでいたキラは背を向け教室へ入った。
もしかしたらシンがいるかもしれないと勢いよく中を確認するもキラ以外の人影はなく、中に踏み入れて机の影など屈んで確認してもシンはいなかった。

「シンくんならいないよ」
「どこ?」
「さあ?鍵はどうせ貰ってるんだろうから先に容器を探したらいいんじゃないかな」

はぐらかす態度に段々腹が立ってくる。怒りが顔に現れたのがわかるとキラは楽しそうに笑みを浮かべた。

「八つ当たりじゃない。かっこ悪い」
「八つ当たりだね。恋人同士の君達が容器を探すのを見ていたら独り身の人は八つ当たりしたくなるよ」
「貴方のは……!」

言いかけてやめる。中途半端に事情を知り、あたしも無関係ではなくシンと共にいることを悩んだだけに強くは言えない。

「カガリさんは貴方を探してたわ」
「でも見つからなかった」
「貴方が見つからないようにしてるんでしょう?」

彼はカガリさんと一定の距離をとっている。カガリさんもそれを感じて踏み込めずにいる。
事情を知っているだけに無責任なことは言えない。あたしがシンと一緒にいるのは彼の助言もあったからだ。
彼の事は好きだ。だからこんなに腹が立つのかもしれない。

「賭けでもしたら?好きでしょ?」
「たとえば?」
「貴方はカガリさんが生徒会室に来ないと思ってる。そうなるよう下準備をしてきたから。でももしカガリさんが生徒会室に来たら今回のイベントを楽しんで」

少し意外そうな表情を浮かべあたしを見つめる。思案しているようだった。
あたしと賭けるわけではない。自分の中に簡単なルールを作るだけ。

「いいかもしれないね」
「じゃあ素敵な提案をしたあたしにシンの居場所を教えて」

あたしの提案を受け入れたキラに笑顔で言っても教えるわけがなかった。

「駄目だよ。あ、これだと僕がシンくんをどうにかしたみたいだね」
「今更何を……」
「ヒントならいいかな。容器を探すといいよ」
「容器?」
「そう」

それだけ言ってキラは教室から出ていった。

『さあ?鍵はどうせ貰ってるんだろうから先に容器を探したらいいんじゃないかな』

「……最初から教えてたのね」

呟いて教室を飛び出した。



H25.4.15



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