閑話・ミー&アウ編


 


「なに馬鹿みたいに窓から身を乗りだしてんの?」

明らかにあたしに向かって言われているとわかっても無視をする。
窓から身を乗り出し周辺の木を見上げる。容器は木の上にあるというのは予想がついていた。でも木といっても沢山あるし、シンがそばにいるなら木の上ではないのかと不安になりつつあった。

「シンと一緒じゃないのかよ」
「一応あたし、先輩なんですけど」

見てわかることをわざと言われて今更なことを口にした。

「シンも嫌気が差したんじゃね」

またわざと煽るように言われるも怒りよりも先に不安が競り上がってきて俯いた。

「……シンは黙っていなくなったりしない。嫌気が差したのならはっきり言うわよ」
「酷い男になってるじゃん」
「黙っていなくなるほうが酷い男なの!」

半ば逆ギレだった。不安になることなんてない。キラがシンを隠したのはわかっている。それでも不安になるのはシンがあたしにわからない場所に容器を置いたかもしれないこと、シンのことがわからないこと。

「焦ってるから見つからないんだろ、バーカ」
「ば、バカはそっちでしょ!あたしの嫌なことをいつもいつも言って」
「言うのなんて当たり前だろ。僕はシンを友達だと思ってる」

あたしではシンの相手としては認められないなんてわかってる。でも一緒にいる決意も生半可なものではない。シンもあたしも悩んだ。二人で出した答えが今。アウルがわかっていて言うのは忘れるなということなのもわかってる。

「……ありがとう」
「は?」

息を吐いて力を抜いてお礼を言う。焦っているから考えて行動ができない。アウルと話したおかげで落ち着くことができた。
アウルは特に理由を聞くこともせず背を向けた。

「言い返そうとしないところは誉めてやるよ」

そう言って歩いて行ってしまった。
言い返したのに言い返そうとしないとは何のことか首を傾げてすぐに思い当たった。彼の思い人のことだろう。彼のは所謂忠告。あたしがそれを出してしまったらただ傷つけるだけ。それは酷いことだ。
思考を探すことに戻す。本来ある場所から移動させた可能性もある。木の上は間違いない。二人で探せてうまくシンが誘導すればすぐに見つけられるから。
容器を探せばいいという言葉は嘘ではないはず。

「急がなきゃ」

場所に思い当たり、探すために足を踏み出した。



H26.1.9



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