シン&キラ編


 


企画が行われた次の日。後片付け作業を分担し生徒会室で俺とキラさんは書類にまとめていた。

“誰しも君のように出口を探しているわけじゃないよ”

携帯の未送信メールに残された文面。残した相手はキラさんだとわかっていた。

「シンくんは今回の企画楽しめた?」
「それを貴方が聞きますか」

文面を打つ手は止めずにパソコンの画面に遮られている迎いにいるキラさんに視線をちらりと向ける。

「僕は彼女が見つけられるか五分五分だと思ってたんだ」

キラさんは画面に顔を向けたままで表情も見えない。視線を画面に戻して作業を続けていく。

「ミーアがキラさん側だからとか言うつもりですか」

ミーアがキラさんの側についているという意味ではない。思考がキラさん寄りという意味だ。

「今は違うよ。でも不安定だからね」

誰のせいで今回ミーアが不安になったかなんて自分でもわかって言ってるのだろう。少し何かあれば今回のようになってしまうかもしれないと予想しているのだと思う。

「だからって諦めたところで何も変わりませんよ」

苛つきがキーボードを打つ音に現れていく。そもそも企画名の理由も納得できなかった。まるで成就しないのを前提にしているみたいじゃないか。

「諦めが肝心ってこともあるしね」
「カガリさんに殴られたら少しは考え変わりませんかね」
「苛立ってるね」

当たり前だとは返さないでおく。

「カガリだけなら逃げ切れたけど予想は仕切れないものだね」
「もういっそ逃げられない企画でもしたらどうですか」
「例えば?」
「……何かで戦うとか?あ、笑わないで下さいよ!」

微かにふきだしたのがわかり立ち上がると案の定口元を手で抑えていた。
座るよう促され座る。大体書類らしくなってきたところで保存をし、キーボードから手を離した。

「男女対抗にするとして明らかに全力でいけない人がいるよね」
「アスランさんはラクスさんが何とかしてくれますよというのは半分冗談で何か互いに罰ゲームとか賞品とか用意すればいいんじゃないですか?」
「シンくんはミーアと戦える?」
「ただの殴りあいとかだと無理ですけどちゃんとルールがあれば」

手加減をすればあとが怖いのがわかりきってるなら全力でやったほうがいい。手加減してほしいといわれてもするかは怪しいけど。

「……それは使えるかもね」
「使えるって。あ、そういえばあの携帯に残ってた文面何なんですか?」

キラさんも終わったのかパソコンが閉じられ、こちらも閉じるとはっきりと顔が見えた。

「そのままの意味だよ」

不穏さも何もないような笑顔が逆に怖い。
キラさんが立ち上がり見上げる。

「確かに出口を探してない人もいるかもしれないですけど、キラさんの場合は違いますよ」

キラさんの顔を見ないよう立ち上がり出入口に視線を向ける。

「抜け出したがってます」
「僕にはわからないな」

扉が開かれるのを見つめながら次の企画は気を失わされる事態には多分ならないだろうなんて考えていた。



H26.1.26



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