Change my Style〜あなた好みの私に〜
「はぁ……」
キラ宅にて訪問してきたアスランは頬杖をつきながら、ためいきを吐いた。
キラはその様子を視界に入れるも気づかないふりをして雑誌のページを捲る。
「はぁ……」
再びわざとらしくためいきを吐くアスランにキラはやれやれとためいきで返しながら、雑誌を閉じた。
「今度はどうしたの?」
“今度”というのは以前も似たような事があったためキラなりの嫌みとして言った言葉。アスランはその言葉を聞き流す。
「……可愛いんだ」
「は?」
アスランは突然立ち上がり力説し始める。
「あの流れるようなかわいさがひきたつ桃色の髪!言葉遣いは女の子らしく上品だけど時々叱ってくれる口調!そのギャップ!そして透き通った声で歌う歌声!!」
「うん、だから……?」
いつもと少し違うアスランにたじろぎながらキラは恐る恐る聞く。
アスランは先ほどまでの力強さは抜け、呟く。
「かわいすぎて……」
「て?」
「近寄れないんだ〜!!」
「へ?」
何を言っているのかよくわからないという顔をするキラ。アスランはラクスにとにかく惚れてるという事はわかりきっている。しかしそれで今更力説してこのような流れになるのか。
「近寄れない、とか?」
キラの問いにアスランは頷いた。
「俺みたいのが隣にいていいのか時々戸惑うんだ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「はぁ……」
街中にある喫茶店でラクスとカガリはお茶を楽しんでいた。
ふと紅茶を飲む手が止まり、突然ためいきをついたラクスにカガリ心配そうに聞いた。
「どうしたんだ?疲れたのか?」
「あ、いえ。そうゆうわけではなくて……」
「何か悩みか?私でよければ聞くぞ」
ラクスは言うか迷った。悩みというものを打ち明けるのをあまりした事がなく、自分でもどう言ったらいいのかの迷いがある。
でもここで言わなければ心配してくれているカガリに失礼である。それ以上にカガリとは友達としての付き合いがしたかった。
しばらく考え込むラクスは声を少しだけ潜めて言った。別に誰に聞かれても問題はない話だった。内緒話という雰囲気を出すためだったのか、気付かぬ内に声が小さくなっていたのかは本人にもわからない。
「最近アスランが……」
「アスランが?」
「触ってくれませんの……」
「のろけか?」
間髪入れずに言われ何と言ったらいいのか困惑するラクス。そんなラクスを見てカガリは少し笑った。
「触ってくれないって態度も違うのか?」
「えぇ、なんというか私が近寄ると近寄った分だけ離れていってしまって……とにかくどんどん離れていくんです」
「……その時のアスランの顔とかは見た?」
その時の事を思い浮かべてみる。何か慌てた様子で離れていくアスラン。顔は……
「少し赤かったですわ」
カガリは大体察しがついたように笑う。
「どもってこう言われただろ。“近寄ると危ない”」
ラクスは思い浮かべたアスランと同じ事を言ったカガリに驚いた。
その表情からカガリは自分の予想通りだとわかる。するとニヤリと口を歪めて、ラクスに耳を貸すように言う。
「耳ですか?」
カガリはラクスの耳に小さい声で目論みを伝える。
先ほどと同様聞かれて困る事はない。何となくこうなってしまっている。
「え!そ、そんな事をするんですかっ!?」
ラクスは顔を赤くさせた。カガリは何も言わず首を大きく縦に振っるのみだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
アスランはあの後キラに宥められ帰宅した。
「可愛くないと思えばいいなんて無理だよ」
キラに言われた事を口に出す。キラもそんな事はできるはずがない事をわかっていながら言うなんて意地が悪いとアスランは思う。
「あれ?俺電気つけっぱなし……」
自分の部屋に入った瞬間アスランは驚いた。そこにいるはずのない人がいたからだ。
「ラクス?」
「おかえりなさいアスラン。あの勝手に入ってすみません」
「いや、それはいいんですが……その、格好は?」
思わず凝視してしまい、ラクスが恥ずかしそうに裾を掴んだのを見て視線を逸らした。
「セーラー服ですが、変でしょうか?」
“変じゃないです!むしろ可愛い!!”
と心の中で思うが平然とした態度を努めようとする。
「い、今時セーラー服は珍しいなと思いまして」
「そうですか?あ、今日は私が夕飯作りますね。アスランはここで待っていて下さい。できたら呼びますから」
そう言って何ごともなかったようにキッチンに行ってしまった。
ラクスがいなくなるとアスランは膝をつき頭を抱えた。
「キラ……今回ばかりはお前のアドバイスは役に立ちそうにないよ……」
数十分後……
「アスラ〜ン!できましたわ〜こちらにいらして下さい」
ラクスの呼び声がしてキッチンに向かった。しかし本日2度目の驚きが彼を待っていた。
「ラクス!?」
「はいにゃん?」
キッチンに立っていたのは先ほどのセーラー服美少……もといセーラー服ラクスではなく……
「どこからそんなものを……」
「出所は内緒ですにゃん」
そこに立っていたのは猫耳としっぽをつけたメイド服ラクスだった。しかも語尾に“にゃん”付き。
「アスランはこうゆうのお嫌いですかにゃん?」
彼女も恥ずかしいのか顔を赤らめている。
「嫌いなわけ……!?いや、可愛いけどいつもの方がいいと思うよ」
顔をひきつらせ無理して言う。本当は
“嫌いなわけない!襲ってしまいたいほど可愛いすぎる!”
と思っているのだが言えるわけない、言えない。
「そうですか……?」
ラクスは少し残念そうな顔をする。そしてアスランに近寄る。しかしアスランはその分だけ遠ざかる。
「あっ……」
あからさますぎたと思ったのか声をあげるアスラン。ラクスは遠ざかったアスランを見つめる。
「本当にこの格好はだめかにゃん?」
“そんな瞳で見つめられたら…!”
アスランはラクスを見ないよう目をふせる。
ガバッ
ラクスはアスランに思い切り抱きつく。アスランは何も言えない。
「何がいけないにゃん……?」
アスランを見上げ聞く。しかしアスランは何も言わない。
「何がいけないにゃん……?」
アスランを見上げ聞く。しかしアスランは何も言わない。
ぷちぷち
何も言わないアスランの服を脱がし始めるラクス。
「ラクス!何を……」
「メイドはご主人様にご奉仕するって教えてもらいましたにゃん」
ラクスはアスランの胸を嘗める。
「っ!?……だめだ!」
ラクスをひきはがす。ラクスは動かず聞く。
「アスランはこうゆうのお嫌いでしたか?私……」
涙ぐみながら下を向く。そのラクスを見てアスランは自分の本当の悩みがわかった。
「俺はラクスを壊したくないんだ……」
「え?」
「俺の欲のままにラクスに接したらラクスを壊してしまう。だから自分を止めてたのに……」
「んっ!」
アスランは自分からラクスに触れ、顔をひきよせキスをした。今まで触れていなかった分を取り戻すように。
「んんっ!……私はそう簡単には壊れませんわ。だから」
アスランはラクスを抱きしめた。そして首に赤い証をつける。
「前の……消えちゃったね」
「またつけてくださればいいですわ」
「う……んぁ!んんっ!」
「ラクス…声聴かせて、お願いだから……」
あの後アスランの理性は崩れ去りラクスに没頭していた。
「アス……ラン!あぁ……ふっ、んん」
「せっかく猫耳メイド服なんだし猫っぽく鳴いてみてよ」
「そんな……恥ずかし……」
アスランはラクスをせめまくる。
「もうこんなだよ…久しぶりだしね」
ラクスの愛液を手につけラクスに見せるアスラン。
「やぁ……はぁ」
「ラクス…壁に手ついて」
ラクスは言われた通り壁に手をつきアスランに腰を突き出す。
「今日は特に手加減できないかも……いくよ」
「あぁっ!……あっ、あっ」
アスランの律動にあわせて声をあげるラクス。
「にゃぁ……んにゃぁん」
先ほどのアスランの言葉を思いだしたのか猫みたいに鳴く。
「ラクスっ」
「にゃぁっ!もう……」
―翌朝―
「結局あのセーラー服と猫メイドは誰の?」
「あれは……カガリのですわ」
「はぁ?」
朝食を食べているアスランとラクス。ラクスはアスランのシャツを着ている。
「カガリが持っていてはおかしいですか?」
「何に使うのかなって……」
「さぁ?私も不思議に思いまして聞きましたら真っ赤になって何も言ってくれませんでしたわ」
アスランはびっくりした顔をする。昨日といい今日といいびっくりづくしなアスラン。
「ラ、ラクスは何で突然あんな格好してたんだ?」
アスランは聞かなかったことにして話を変える。
「キラも好きならアスランも好きだろとカガリが言いまして着ましたの」
アスランは何も言えなかった。ラクスは微笑む。
「でも無理してああいう格好をするのではなくアスランに愛されてアスラン好みな私になった方がいいですわ」
アスランはラクスの言葉がうれしくてラクスにキスをした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「お前はどんな趣味してるんだよ」
キラ宅におしかけるなりそう言い放つアスラン。キラはいとも簡単に答える。
「アスランと同じ趣味」
すぱんっ!
どこからだしたのかアスランは右手に持ち構えた紙のハリセンでキラの頭をはたいた。
キラは慣れてるせいか頭を軽くさするだけの動作をする。
「俺はあんな趣味じゃない!」
「嘘だぁ〜。あ、猫より普通にメイドがよかったんだ?“お湯加減いかがですか、ご主人様。お背中流しましょうか?”とか正統派なヤツ」
キラは少しかしこまりながら声を高めにして言った。顔はあきらかにアスランをからかってますといわんばかりの微笑。
「ま、自分で調教するからこそって感じかな」
「キラ!」
顔を赤らめながらキラを呼ぶがキラは笑いながらアスランに背を向け姿を消した。
「たくっ」
キラの部屋に一人取り残されふとあたりをきょろきょろ見回す。
「すぐに見つかる場所には置いてないよ」
姿を消したはずのキラはやはり笑ったままドアにもたれかかっていた。
「な、何をだよ」
ちょっとあせったふうに答えるアスランにキラはいたずらをしようと誘うような口調で言う。
「素直に言えばいいものあげるよ♪」
アスラン・ザラ……昔からの親友に教えられた十代だった。
H15.6
H16.4.19加筆
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