春一番
「きゃぁっ!」
「ラクス、そんな短いスカートを外に履いてきてはだめです」
突風がおこりラクスの膝上のスカートをまくりあげた。
あきらかにその光景を喜ばしく見ている男たちを睨みつけるアスラン。
「ですが……」
「だめなものだめです」
アスランはラクスの言葉聞かず、自分のロングコートをラクスの腰へと巻いた。
「これでよし!」
「うぅ〜」
「アスラン……ばか?」
「何だよ、いきなり」
そんな話を聞いたキラはアスランをばか呼ばわりした。
「久しぶりにでかけたんでしょ?きっとアスランのためにした格好だったんだよ。なのに……ねぇ?」
キラは後ろにいたカガリに相づちを求める。
「女の子は好きな人のためにいい格好するもんだ」
カガリはうんうんと頷きながらそう言った。
分が悪くなってきたアスランはうぅと唸り始めた。
「唸ってる暇があるならラクスに埋め合わせしたら?」
「……キラ、黒い」
「キラの髪は茶髪だぞ?」
そういう意味では……と言いそうになるが今はとにかくラクスに会わなくてはと思ったアスランはすぐキラ達と別れた。
「アスラン!似合いますでしょうか?」
薄着の長袖に腿ぐらいのスカート丈の服を着たラクスはくるくると回りながらアスランに聞いた。
「とっても似合ってますよ」
ラクスに似合わない服なんてあるもんなら燃やしてやると思いつつアスランは笑顔で答えた。
「きゃっ……」
またもやラクスを突風が襲う。
先日よりもスカート丈は短いのに風は断然強い。
チラりだけではすまない…そう思ったアスランは
「えっ……あの、アスラン?」
アスランが起こした行動に驚くラクス。
「抱きしめてればスカートは捲りあがりません」
名案と言わんばかりな爽やかな笑顔でラクスを抱きしめるアスラン。
道端でそんなことをすれば人々は見るわけで……。
「今まで春一番は嫌だったんですよ。花粉症の季節だし風でいろいろ飛ぶし目にゴミは入りやすいし」
突然語りだしたアスランをラクスは見上げた。
「でも」
アスランはいたずらっぽくラクスの耳に囁く。
「ラクスを抱きしめられる口実ができるから春一番もいいかな」
アスランの言葉にラクスはくすっと笑うとアスランと同じように耳へと囁いた。
「口実なんてなくてもいつでも抱きしめてほしいですわ」
H16.3
book /
home