風邪


 


「……ラクス?」
「頭がくらくらしますわ……」

ラクスはそう言うとアスランに寄りかかるように倒れた。


「ん……アス……」
「風邪だそうですよ。しばらくは安静にとのことです」

ラクスの額のタオルを変えながらアスランは言った。

「ごほっごほっ」
「大丈夫ですか!?」

せき込み息苦しそうに呼吸するラクスに呼びかける。

「だい……じょう、ぶ……ですわ」

自分の掠れた声を聞きラクスはのどを押さえた。

「喉にもキテいるみたいですからあまり声を……わっ」

突然起き上がりアスランにしがみつくラクス。
何かを恐れているように涙目でアスランを見つめる。

「……大丈夫ですよ。治れば声もでます。歌も唄えますから」

アスランはラクスが言いたいことがすぐにわかったように告げた。そして優しく髪を撫でる。
初めて風邪というものをひいたラクス。それ故に声が出ないことに驚いたのだ。

「だから安静にして……ラクス?」

ラクスを再び寝かせるとアスランは袖を引っ張られているのに気づいた。
口をぱくぱくさせアスランに一生懸命伝える。
それをみるとアスランは微笑みラクスが寝ている布団の中に入った。

「風邪をひくと心細いものですから……一眠りしましょう」

ゆっくりと言われラクスの瞼は落ちてくる。

「起きたら玉子粥を作って食べさせてあげますから……」

ラクスは起きた時の楽しみを言われ少し微笑む。
そしてアスランの腕の中で眠った。
ラクスの寝顔を見ながらアスランはラクスの顔にかかった髪をかきあげた。

「治して……また歌を聞かせてください」


H16.3



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