EVERYDAY


 


「食器片付けますわ」
「あ、すみません」

先程までは賑やかだった室内は静かになり、賑やかさの残骸とも言える飾りつけを外していた。

「起きたらラクスの家でびっくりしましたよ」
「アスランの家でやると言うのは全員一致しましたから。でもアスランを驚かせたいというのもあって運んでしまいました」

そんな荷物のように……と思うがよく俺に気付かずに運んだものだ。
今日は俺の誕生日だった。
朝からラクスの家に閉じ込められ、昼にシンに連れられ自宅に戻るとラクス達にクラッカーの音と共に出迎えられた。

「アスランの驚いた顔、忘れられませんわ」

皿を重ねながらラクスは笑いながら言う。
誕生日とは認識していてもこんなふうにやってくれるとは思わず、驚くのは当たり前だった。
祝われてるはずなのに出迎えてくれたメンバーの表情がまるでドッキリが成功したように嬉しそうで悔しかったりもした。
でもそれ以上に嬉しかったのも事実だ。

「やっぱりこうしてお祝いするのは嬉しいですわ」
「え?」

改めて言われた言葉に少し違和感を感じた。
婚約者になってから何回か誕生日を迎え、その度に会えはしないがプレゼントを贈ってくれていた。
祝うのは嬉しいという事だろうか?

「一日一日が楽しくて嬉しい事ばかりではないですが、大切な人が生まれた日に直接おめでとうを言えるのは特別な気がするんです」

大切な人という言葉に胸が高鳴った。
柔らかく微笑むその表情はいつもの微笑みなのに違う気がするのはどうしてだろう。

「特別……」
「大切な人といる毎日が特別なのかもしれませんわね」

いつのまにか隣に立っていたラクスは手を止めていた俺の変わりに飾りつけを外しはじめた。

「でもそれが毎日になれば特別じゃなくなるかもしれません」

飾りつけを外していく手を見つめながら俺は口に出していた。
想像していたよりも自分の声が低いトーンだった事に気付き、我に返った。

「アスランは私とずっと一緒にいたいと思ってくださいますか?」
「それは、もちろんです!」

紙で作られた輪を繋ぎあわせた飾りを両手に持ち、俯きかげんのラクスに即答した。
すると顔を上げてこちらに微笑んでくれる。

「私もアスランとずっと一緒にいたいです。それはとても特別で、その気持ちを持って過ごす日々は普通でも特別になるんですわ」

特別だと思っていてもそれが続けば特別ではなくなってしまう。
でも大切な人はずっと大切な人だ。それは信じられる。

「大切な人といられるのは嬉しいですよね」
「はい」

そう言って先程ラクスが言っていた祝う事は嬉しいという意味に気付く。

「俺も祝います。ずっと、大切なラクスの生まれた日を」

飾りつけを持つラクスの手を両手で握った。
とても嬉しそうに笑うラクスを見て嬉しさを噛み締める。
続く明日を、この手をとって一日一日彼女と生きていきたい。



H21.10.29




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