誘う君は抱かれてくれなくて


 


「きゃっ!な、何?」

部屋のドアが突然開く音がしてベッドに寝転がっていたミーアは慌てて起き上がった。

「シン?」

仏頂面のシンがすぐに現れ見知った人物で安心する。
しかしシンは何も言わずベッドに乗るとミーアに迫っていく。

「何……?」

後ろへと下がっていくがすぐに壁にぶつかってしまい、シンの顔がすぐ目の前まで近付いた。

「何でそんな衣装着てるの」
「衣装って……これ?」

ミーアが自分の服を指さすとシンは深く頷いた。

「ちゃんとしたスカート着ろよ。何だよ、何でレオタードで胸強調してんだよ」
「いきなり何よ」

怒ったようにまくし立てるシンに押され気味になりながらも言う。
するとスカートの割れてる部分から手が入り込み腿に触れた。

「露出度高過ぎ」
「今更じゃない」

何を今更言ってるのかという風に言うとシンは更に仏頂面になった。怒っているのか拗ねているのかよくわからない。

「とにかく駄目、脱げ」
「脱げ……って無理よ。他に衣装持ってきてないし」

あえて脱げという発言は突っ込まない事にした。深く突っ込むとこの場で無理やり脱がされかねない。

「腿撫でないで」
「やだ」

ミーアの言葉は無視し腿を撫でる。その動作にミーアは声を出してしまいそうになった。しかし出してしまえばシンの思うツボと必死に堪える。

「服脱いでくれたらやめる」
「変わりの服はどうするの?」

考えていなかったのかシンの動きが止まった。しばらく考え名案と言わんばかりの笑顔を見せる。

「俺の軍服着ればいいんだよ」
「嫌!人前に出れないじゃない」
「大丈夫、だから……」

腿から手が離れたかと思うとその手はミーアの服を脱がしにかかる。

「駄目……?」

脱がそうとしている手を止めて甘えた口調で聞いてくる。

「ずるい……」
「ミーアにしか効かないからズルくてもいい」

シンが恥ずかしくて見ていられず少し俯くと唇に柔らかい感触がした。
そのまま腕を引かれ少し前に進むと押し倒された。



「ん……服」

まだ眠気が襲う中何も身につけていない体を起こし服を探す。
シーツの上や中、ベッドの下や周囲を見るがどこにもない。

「あ、起きた?」
「シン!あたしの服どこにやったの?」

どこかに行ってたのか部屋のドアから現れたシンに服がある場所を聞く。

「はい」
「……これはシンの軍服でしょ?」

自然に渡され礼を言いそうになるが明らかに自分の服ではなかった。

「どこだろうと抱いていいならあの服着ていいよ」

笑顔でさらりと言われるが頷くわけにもいかない。

「何でそうなるのよ」
「俺のモノって見せつけとかないと。ヨウランとヴィーノがさ……」

元からラクス・クラインが好きなシンの友人二人。雰囲気が変わって衣装も色っぽくなったとよく耳にする。
それをミーアに説明した。

「だから?」
「だからっ他の男にそういう目で見られるのが嫌なんだよ!!」

顔を赤らめながら言うシンが可愛くてミーアは吹き出した。

「あっ、何笑ってるんだよ」
「シンのこういう顔が見れるならあの衣装ずっと着てようかなって」
「着られなくしてやるっ!」

そしてシンに勢いよく押し倒されてしまった。
結局首や足に赤い印をたくさんつけられ一時的に衣装を変えざる得なくなったんだとか。


─見る度に
惹かれてるとわかるほど
君に恋い焦がれてる
ずっと抱き締めていられたらと
ずっと君の中に居れたならと
思わずにはいられない
歌い踊り舞う君
まるで俺を煽り誘うよう
君に向かって抱かせてと呟くけど
遠い君には届かない
こんなにも誘う君は
抱かせてくれなくて
だけど俺の腕の中にいる
だからずっと君を愛させて……愛して、愛し合う─



H17.9.9




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