革命彼女〜バスルーム〜


 


「シンはラクス様に興味なかったの?」

椅子に座り、足をぷらぷらとさせるミーア。一部の人が見たら倒れるかもしれない。

“ラクス様が足をぷらぷらなさいました”

一面記事にすらなりそうだ。俺の中のラクス・クラインというのはおしとやかで少なくても目の前にいる彼女みたいな行動はしないと思っている。
アスランさんに言ったら“お前には見せない。いや、見せるはずかない”なんて言われたけど。

「シン、聞いてる?」
「うわっ」

いきなりのミーアのアップ。驚いて手にしていたコップを離してしまった。

「ちょっと〜」
「ミーアがいきなり顔近付けるからだろ〜」

確かに考え事をしてミーアをほったらかしにしてしまった俺が悪いわけで、素直に謝っておく。

「買ったばかりなのにー」

落とした拍子に零れた中身。白いブラウスの濡れた跡を見ながら文句を言う。

「お茶だから大丈夫だって」

そう言うとキッと睨まれた。落ちるのに何でそんなに怒るんだか。 
「シャワー貸して」
「お詫びに一緒に入ろうか?」

お決まりの“馬鹿”が飛んでくるかと思いきや、言いかけた口を閉じてミーアはほくそ笑む。

「じゃあ一緒に入ろう、シン」
「は?」

冗談だったのに予想外な返答にわけがわからなく、ミーアに腕を引っ張られ浴室へと向かった。

「ほら、シン。突っ立ってないで早く」

彼女が浴室へと誘う。喜ぶ場面のはずなのに喜べない。

“背中を流すだけだからね、絶対それ以上したら駄目だからねっ!”

と、釘を刺されて俺は洋服を着用したまま、ズボンの裾を折り曲げ突っ立っていた。
お茶を零しただけで何故こんな事になってるのか。
ちなみにミーアはタオルを巻く事なく裸。確かに今更隠してもと思うけど嫌がらせか拷問にしか思えない。

「シン、早くっ」

そして急かされる。美味しい場面のはずなのに心は寒い、体は熱い。
俺は仕方なく覚悟を決めて浴室へと足を踏み出した。

「せっかくだから髪も洗えば?」
「洗ってくれるの?」

そんな期待のまなざしで見られて、自分で洗えなんて言おうものなら恐ろしい事になる。
洗うつもりでいたし。

「ちゃんと目瞑ってろよ」
「はーい」

素直に目を瞑るミーア。ポンプを押しシャンプーの液体を手に出し泡立てる。
見れば見るほどこのおあずけは辛い。
よくミーアが

“シンは犬みたい”

って言うけどこれはまさに犬のおあずけかのよう。いつ“よし”が言われるのかが待ち遠しい。でもその時は来るんだろうか。

「シン?」
「あ、ごめん」

ずっと泡立てていた事に……と言ってもミーアの体に見とれてたわけだけど、気がつきミーアの髪に触れる。

「もう少し強くても大丈夫」

人の頭なんて洗う事がないからよくわからなくて弱い力で手を動かしていた。
マユの頭を洗った事はあるけど力が強くて痛いから嫌だと嫌がられた。 

「かゆい所はありませんかー?」
「大丈夫」

今ではマユの事を思い出しても悲しくならないのが不思議に感じた。
あまつさえ理性総動員で耐えている始末。自分がこんなに我慢強いとはとそれも不思議に感じた。

「きゃっ、流すなら流すって言ってよ」

シャンプーを洗い流し無言のままリンスをつけまた洗い流す。ミーアに何度か呼びかけられたけどそれも無視。

「じゃ、俺行くから」
「えっ、シン!や、行っちゃ駄目!!」

言い終わるのと体がびしょ濡れになるのはどっちが早かったろうか。
ミーアはシャワーを手にし俺に向かってお湯を思いきりかけた。
おかげで服はぐっしょり、髪もぐっしょり。
ぽたぽたと滴を落としながらミーアに振り返る。

「よし?」
「え?」

いつもの俺なら……とミーアは考えてたみたいだけど、それも面白くなくてこんな行動をとった。
ミーアははじめはよくわからないと言った風に聞き返してきたけどすぐにわかったみたいだった。

「よしっ」

その後は言うまでもなく……ミーアはのぼせるわ、俺の服は張り付いて脱ぐのが大変だった。
ミーアが怒っていた理由は買ったばかりの服に対して何も言われず、更にはお茶をかけられ服には触れられなかっただからなんだとか。

「ミーアはミーアだし」
「わかるように言ってよー!シンの馬鹿っ」

そんな彼女が今日も可愛いと思う俺は人の事は言えないのかもしれない。



H18.5.20




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