革命彼女〜誕生日〜
「ひん、はんほーひほめてとー」
「何語?」
玄関の扉を開けるとそこには彼女がいた。しかし何かがおかしい。
第一声が何を言ってるのかわからない。彼女がくわえているクッキーらしきものが原因にうまく話せないようだった。
何でクッキーなんかくわえているのか。理由を聞こうにもこれでは会話はできそうにない。
「とりあえずそれはずして」
「んんー」
イヤイヤと首を激しく横に振る彼女。
「じゃあ取っちゃうからな」
「んー!んっ!」
口許に手を近付けるとミーアはまた激しく首を振り嫌がる。すると少し上に顔をあげ俺に何かをしてほしいのか一生懸命顔で何かを指している。
「家の中?」
「んんー!んっ!」
だからそれじゃわかんな……と言おうとした時、瞬時に何故か理解できた。
ミーアがくわえているのはクッキー、そしてくわえながら俺にそれを差し出すようにしているようにも見える。
「ここで?」
「ん!」
嬉しそうに頷かれる。せめて家に入ってから……と考え始めるとミーアの眉間に皺が寄り始める。
「もしかしたらふやけてきた?」
「んん〜」
クッキーがふやけてきたらしくミーアが悲しそうに肯定する。
この会話も実は楽しくなってきたけど、あまり長く待たせるとあとが怖いので覚悟を決める。
「目」
「ん?」
大きな瞳が間近で瞬きを繰り返す。キスをするわけじゃないけどそんなに見られていたら恥ずかしい。
閉じる気配がないのにこうして微妙な距離まで近付いて見つめるのは尚更恥ずかしい。
視線はほぼ口元だけを見て俺はクッキーをかじった。まだかろうじてくわえられていなかった部分はサクサクしている。
「ん、美味しい」
「よかったー、シンが早く食べてくれないから美味しくなくなっちゃう所だった」
残りは食べてしまったのかやっとまともに言葉を発した。そのまま家の中へと入り、俺は扉を閉める。
「でも何でいきなりこんな事してんの?」
「シンの誕生日だから!誕生日おめでとう、シンっ!」
「ぅわっ」
飛び付かれて受け止めてから最初に言っていたあの意味不明な言葉は祝いの言葉だったのだと察した。
「あたしをプレゼントでもよかったんだけどそれだと芸がないから口移しで手作りクッキーをプレゼントしたの」
「俺は別にミーアにリボンかけてでも……いてっ」
言いかけて両頬を引っ張られる。不満そうな顔をしながら引っ張られたがすぐにご機嫌顔になっていた。
「何かあげたかったの!あたしの事はいつも……あげてるし」
照れてるのか少しだけ視線を逸らして、照れ笑いを浮かべながら頬にキスをされた。
「シン、顔赤いよ?」
「ミーアのが移ったんだよ」
楽しそうに笑うミーアにおかえしとばかりに頬や額にキスをする。くすぐったいと言いながら笑う声がくすぐったく感じた。
「まだクッキーあるから一緒に食べよ?」
「口移しで?」
からかうように言うと馬鹿っと返されてしまった。
でも結局は誕生日だから特別と口移しで食べさせてもらった。
端からみたらばかなかっぷる、いわゆるばかっぷるにしか見えないけどこれが結構楽しかったりする。
慣れなのか何なのか。
革命に似た何かを起こした彼女は今日も隣で笑ってる。
H18.9.1
book /
home