不確かな時間を抱き締めて
「ラクス〜?」
広い家でもないのに僕はその人を探す。
家の中にいないのかと思うけど、何も言わず出かけるとも思えない。
「一通り探したんだけど……まさか」
一か所だけ探していない部屋があった。
でもまさかそんなはずはないと思うが探す場所もないため部屋へ向かう。
「うわ、いるし」
しかも寝てる。
僕の部屋。ベッドの上で寝ているのは僕じゃない。
開かれた窓から生温い風が入る。
今日は晴れてたんだ、と今更思った。もう昼も過ぎてんのに。
「アウル……?」
小さく呼ばれてベッドに視線を戻すと完全に目を覚ました様子ではない表情。
「ラクス、風邪ひくよ」
「そう……ですわね」
だめだ。
わかってても眠気には勝てないって感じ。
「ふっ……ははっ、おっもしれー」
「何か面白い事があったのですか?」
ゆったりと聞かれても僕は笑ったまま。
だって面白いじゃん。
この見たまんまがおかしかった。
「何でここにいんの?」
まだ笑いながらもベッドに腰かけ聞いてみる。
いつもは逆だから変な感じ。
僕が寝ててラクスがそばにいて頭とか撫でてくれる。
「アウルを探していたんです」
「は?僕も探して……」
すれ違い?
どっちも動き回って見つからなかったわけか。
「そんなに僕を探してたんだ?」
ラクスは何も言わず目を伏せる。
僕もそれ以上は何も言わず、ラクスの長い髪を手で掬った。
指で弄る。短くもないし長くもない時間、こうして髪に触れるのが好きだったりする。
「外、行こっか」
どれくらいそうしていたかはわからない。
ふと、そう言うとラクスは瞼を上げて僕を見上げて微笑んだ。
「アウルと一緒ならどこへでも」
それは何故この部屋にいたのかの答えでもあった。
「僕の部屋はラクスだよ」
どんな表情かもわからない。きっと泣いてる。
嬉しいから泣ける。そんな事もあるんだと僕はいつの間にか知っていた。
「はい……アウル」
頷いて起き上がると僕を抱き締めてくれる。
僕もそうなれるかな。抱き締めていいんだろうか。
「うん……」
僕はラクスを抱き締めた。
還る場所はきっと海
広いひろい海
ふかい深い海
光を反射して
受け入れる
その色が好き
あわいあわい色
不確かな時間を抱き締めて
僕はあなたを抱き締めた
H18.5.1
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