錆びちぎる、空白愛


 


食いちぎる思いは
はらはらと
ひらひらと
君の白い躰に
落ちて行く
この行為は
君を繋げるもの
この行為は
僕を断ち切るもの
錆びた躰は
その味しかしなくて
生きていれば
日々錆びていくのだと思った



「まずい」
「血は……」

旨くはないと言った。
でも他人の血は、愛する人の血は旨いのだとも言った。

「誰かの飲んだ事あんの?」

ふっと笑うだけで何も答えてはくれない。
反対に僕に問い掛けてくる。

「アウルは……」

私の血を飲んだと。
こうして行為が終わると自分の手首に歯をたてるが、誰かにそんな事をした覚えはない。

「もう一回」

唇を重ねると錆の味と痛みを感じた。
唇を離せば互いの唇に赤い痕。
それは肌に残す痕よりも痛くて、同時に付いた痕が嬉しいとさえ思った。
何もかもが違いすぎるから。
だから肌を重ねるんだろ?
だから何度も貫くんだろ?
その心臓も貫ければいいのにね。
ひきずりだして脈打つならば、潰すよりも飲み込もう。
それぐらい僕は貴女に感じてる。
くれるなら僕もあげるよ。きっと貴女はくれないけど。

「ん……アウ、っ」
「確かに美味しいね」

柔らかい唇にまた唇を重ねる。貪るように、噛みつくように。
滲む血を美味しいと感じてるのは何故だろう。
貴女も僕と変わらず錆びてるのに。

「あっ……」

シーツを掴む手を奪い、握り締める。
どうしてこんなにも……。
僕は何度となく貴女の中で空白になる。


白いそれが殻になるまで
満たせば満たすほど
貴女は熟れる
僕の錆と貴女の錆が
ちぎればちぎるほど
積もる
どうしてこんなにも
愛しちゃったんだろ



H18.5.25




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