兄の日1



今日は父の日だ。お兄ちゃんは夕方に仕事が終わると言っていたので、晩ご飯食べに行きたいところがあるから早く家に帰ってきてと事前に伝えてあった。

「ねー隆二くんなんでいるの?」
「えっ?だめ?」
「今日はだめだよ…」

えーなんで?おじゃましま〜す、と私の言葉は無視して部屋に上がる隆二くん。聞くところによるとどうらお兄ちゃんは少し仕事が長引いているらしく、先に隆二くんだけをここに送り込んできたらしい。なにも知らなかった私は、ビックリして若干白目をむいてしまった。ドアを開けてリビングに入った隆二くんはキッチンに向かい、くんくん、と犬みたいに匂いを嗅いでいる。

「ん?いい匂いする!今日どっかご飯屋さん行くんじゃなかった?あれ、晩ご飯作ってるの?」
「…んー」
「え?なになに?」
「…………今日父の日だからさぁ、お兄ちゃんに…その…」

そこまで言ってチラリと隆二くんを見ると、口を手で覆って驚いた顔をしている。

「美緒ちゃん…そんな…おれそんな…知らなくて…なんて良い子なの…?」
「もう!やめてよ!恥ずかしい!」
「おみ、嬉しくて死んじゃうんじゃない…?うれ死…」