すももは、すぐに泣いてしまうのです。

なんでだろう、なんですももはついついうるうると目に涙が溜まってしまうのでしょうか?
すももは寂しがり屋さんで、甘えん坊さんで、とてもとても悲しん坊さんなのです。

一緒に遊ぶみかんちゃんはよくすももの事をからかってきます。
悪気がないというのは知っているのでその行為は別に嫌ではないのです。
だけどすぐ感情が高ぶってしまい泣いてしまうので、みかんちゃんは呆れて「まーた泣いちゃったよ」とよくすももに言ってきます。
そして、今もいつものようにからかわれ、泣いて、今は落ち着いてきてネガティブモードのすももです。

「すももは、ダメな子なのですぅ…」
一人でぽつんと呟いてみました。
誰もいないリビングの片隅に、すももは一人で体育座りをしています。
いつも反省ネガティブモードになるとこういう風によくすみっこにいってしょんぼりしちゃうのです。
ああ、何ですももは泣いちゃうの?すももだって泣きたくて泣いてるんじゃないんですよ。
ぐるぐるぐるぐると、負の感情が頭の中で襲ってきます。
ため息をひとつ、ふたつついていると、ポンっと頭にかすかな温かみを感じました。
振り向くとれもんおねーさまが後ろに立っていました。
「何しょんぼりしてるのそんな所で」
顔を覗きこむように聞いてきました。
泣き腫らした顔なのであまり見られたくないので少し顔をそらしました。
「あぅ…すももは今ネガティブモードなのですぅ…」
「またみかんにやられたのね、全く。すもももみかんの言うことを真に受けないの」
「真に受けてはいないのですぅ。すももはなんでもすぐに泣いちゃうので、みかんちゃんは悪くないのですぅ…」
やれやれと肩をすぼめ、れもんおねーさまはすももの右腕を軽く引っ張りました。
「ほら、行くわよ」
「ふぇ?どこに行くのですか…?」
すももの疑問にれもんおねーさまは答えようとせず、先程よりも強く腕を引っ張ってきました。
「いいから付いて来なさい」
「あわわ…わかりましたですぅ」
れもんおねーさまとみかんちゃんはすももとは違って結構強引です。
行きたくないと駄々をこねてもすももはれもんおねーさまに勝てる気がしないので、ここはこちらが折れて行かないといけません。
渋々と腕を引っ張られながられもんおねーさまの後ろを歩くと、キッチンに到着しました。
厨房にあたる奥の方からはかすかに甘い匂いが鼻の奥まで届いてきます。
早く座りなさいよと促され、すももは自分がいつもご飯の時に座っている席につきました。
れもんおねーさまはすももを残し、奥へ向かいました。
なんだろう、なにかあるのかな?と僅かに期待を胸にいだいていると、れもんおねーさまが向かっていった厨房からみかんちゃんが何かを持って出てきました。
その両手には、少し歪なシュークリームが10個ほど乗ったお皿がありました。
「ちょっと不格好だけど、味は大丈夫だよ」
そう言いながらみかんちゃんはすももの目の前にシュークリームが乗った皿を置きました。
「ふぇ??なんでシュークリームを…?」
すももの疑問にみかんちゃんは照れくさそうに頬を軽く掻きながら口を開きました。
「ちょっと、作ってみただけだよ」
「あなたがすももにお菓子を作ろうって提案したんでしょ」
呆れた顔でれもんおねーさまがボソッと呟くとみかんちゃんはとぼけるようにそうだっけ?と言ってます。
2人の会話に少しついていけませんのですももは蚊帳の外にいるような感じがしました。
「えっでもなんですもものためにシュークリームをですか…?」
疑問をぶつけると苦笑しながられもんおねーさまが先に口を開きました。
「すももがしょんぼりとしてるからお菓子あげようーって言ってきたのよ。でも僕は作るの下手だかられもん教えてねーってね」
「そーいうこと。だから早く食べなよ」
「みかんちゃんがすももの為に…」
驚きました。
まさかキッチンにあまり立たないみかんちゃんが作ってくれるなんて。しかもすももの為に…。
とてもとても嬉しいのです。
「ほら、早く食べなよ。折角作ったのにいらないなんて言わせないからね」
急かすようにみかんちゃんは言いました。
たくさんあるシュークリームの内、よりすももに近いところにあるのを一つ掴み一口齧りました。
少し焦げた味もしましたが、それ以上に甘いクリーム、サクッとした生地が口の中に広がりとても美味しかったです。
また一口、また一口と黙々とシュークリームを食べていると、つーっとひと粒の雫が目から零れ落ち頬をつたいました。
「えっ!あれ?まずかった…?」
慌てているみかんちゃんを見て、すももは涙が溢れていたことに気が付きました。
「あなたもしかして塩と砂糖入れ間違えたんじゃないの」
「そんな初歩的なこと間違えるわけないよ。それなられもんが教えたレシピが悪いんじゃないの?」
「なによ!あたしの作り方が悪いって言うの?」
今にも火花が出そうなぐらいの勢いで二人はお互い睨みつけあってて、すももは慌てて訂正しました。
「あわわ!違うのです違うのですぅ!シュークリームはとってもとってもとってーもおいしかったのですぅ!!」
「じゃあ何で泣いてんのさ」
ふぇぇ、すももが泣いちゃったのが原因ですが、喧嘩の矛先がこちらにも向いて来ました。
涙をごしごしと拭き、みかんちゃんとれもんおねーさま2人を見て、精一杯の笑顔をしました。
「2人がすももの為に何かして下さったのが、とっても嬉しくて泣いちゃったのですぅ。嬉し泣きなのですぅ!」
一言言うと、2人はすももから目をそらし互いを見つめ合い、そして笑みを見せました。
本当にすももは、こんなに優しい人達と一緒に過ごせて嬉しいのです。
またそんな事を思うと幸せ涙が出てきてしまいます。
すももの涙は悲しいのも辛いのも楽しいのも嬉しいのも全部全部、表情よりも先に伝えてくれるのです。

「みんなありがとうなのですぅ。大好きなのですぅ!」

涙に負けないぐらいのいっぱいいっぱいの笑顔をしました。
今日も素敵な一日になりますように。
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