とっても短いお話
mha hqは専らTwitt

▽2020/05/16(23:43)

TOV ユーリ
ユーリ。
呼びかけても笑う声は遠い。簡素なベッドの上で乱れた呼吸を繰り返す彼は、必死に生きようとしている。
庇われたのだ。強大な魔物の爪を弾くことしかできずに飛ばされた体躯ごと受け止めて、迫るそれから守られた。
大量の血しぶきを久方ぶりにみた。
彼が痛む姿を、初めてみた。


「ゆう、り」


返ってこない。
無機質な部屋に響く自分自身の声と、時折様子を見に来るエステルの足音だけだ。ここには、生きた音が少ない。
連れていかないで。
これ以上、私の目の前から、消えてしまわないで。
魔核のない筐体だけの魔導器を握り締めたところで、彼のこの傷は塞がることはないのだ。

TOV



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