とっても短いお話
mha hqは専らTwitt

▽2020/08/20(11:25)

magi ジャーファル
初め、まして?


彼女の柔い唇から弾けた言葉に目眩がした。
初めまして。そう返した言葉に彼女は眦を下げてご親切に、と他人行儀な音を吐いた。
七日目の夜、いつもいつも祈っている。この夜ばかりはシンドバッドも仕事を早く切り上げて、もういいとジャーファルの背中を送り出す。
いつも。彼女の小さくて細い指先をすべて包み込むように手を握ったところで、涙なんてものが最早流れることもない、八日目の朝が訪れる。


「どうして、」


ただ、彼女が眠る七日目の夜は、こんな不条理に弱音を溢してしまいたくなる。喉元にでかかったあたりでひどい苦みと共に飲み込んで、微笑みをかたどる。


「おやすみ、#名前#」
「おやすみなさい、ジャーファルさん」


変な人、とくすくすと笑う彼女のどこにも、いなくなってしまう。この夜が終われば、そうなる。
目蓋を固く閉ざした彼女の傍らで、もういっそ覚えている間に、なんて思う。
あと何度、彼女に殺されればいいのだろう。

magi



←prev | top | next→