とっても短いお話
mha hqは専らTwitt

▽2020/09/13(09:49)

喰種 長編ネタ 供養
「喰種は"わたし"の領分、こんなこと、あいつはずっとだって知らなくていいんだ。知ったところで強くもならない、弱みにもならない。"わたし"とあいつは変わらず#名前#なんだから」

***

「馬鹿みたい、どうせ弱いんだからお前なんか引っ込んでろよ」


不気味な赤い瞳がゆらりと笑う。鋭い犬歯が彼女自身の唇をえぐっている。


「お前なんか消えちまえ、人間一人殺せねえお前なんか、いらねえんだよバァカ! "わたし"は腹減って腹減って腹減って仕方ねえし、お前は食わねえし、あげく他の喰種と仲良しごっこ? ふざけてんのかお前。早く死ねよ、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!」

乾いた赫子が何度も何度も何度も突き刺さる。私の身体を貫いて抉り取り切り裂いた。そうして漸く、彼女の衝動は治るのだ。それが漸く、自分の身体だと気づいて、中身を暴く手を止める。


「...なんで、"わたし"ばっかり否定するんだ..."わたし"はお前なのに、お前は"わたし"なのに、どうして...」
「...名前」


私が呼ぶ"わたし"の名前は、ひどく滑稽だった。


「名前、死にたく、ない。"わたし"は、死にたくないんだよ」
「...だめだよ。私たちは、だって」

***

#名前#が月山と行動していた家に向かう。彼女はなぜかキッチンで料理をしていた。僕たちには食べられないものを、作っていた。


「おかえり月山さーー」
「やあ、ただいま」


カネキの姿を見る。睨むように月山を見る。


「...月山さん、どういうことですか」
「カネキくんがどうしてもというからね。僕の中の優劣に従ったまでさ」


それじゃあ、また後で、と月山は出て行く。窓ガラスに映るカネキの白髪が酷く浮いて見えた。


「...なにしてるの」


#名前#は俯いたまま、口を開きかけてやめた。


「...何かを探してるのなら、一人より多いほうがいい。君は弱いし、そのほうがいいはずだよ。どうして、月山さんとたった二人で、何をしてたの?」


彼女はターナーをまな板の上に置いてひたすらに押し黙った。


「...僕が、弱かったから?」
「私は一人でだってできる! もう弱くない、私だって、もう弱くない! でも、でも...そうじゃないでしょ...? 強いとか弱いとかじゃない。私は枷になりたくない。私は私の道を行くって決めたの」


彼女の左目が引きつっていた。カネキの指は無意識に顎をなぞっていた。


「......なら、月山さんと、二人で勝手にすればいい」


帰り道、料理をしていた彼女を思い出す。小さい頃の記憶に、蓋をした。

喰種



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