とっても短いお話
mha hqは専らTwitt

▽2020/09/17(01:06)

MHA 爆豪
意識不明注意
逃げ遅れた女の子が、瓦礫の倒壊に巻き込まれて。敵と応戦してたかっちゃんが、救けに行って。――間に合わなかったんだ。目の前で、崩れていく様を見ていた。僕は、また、手の届く距離にいたのに。


静謐を湛えた廊下。反響する無機質な電子音。紛れる、涙に枯れる声。
集中治療室、と掲げられた部屋。慌ただしく出入りしていたガウンを羽織った医者の数が疎らになっていく。
隣で立ち竦んだまま身動きも取れない出久と、恐らく同じ顔をしていた。


「…なんで」


ヒーローはいつだって命懸け、と笑っていたオールマイトを今更思い出した。あの頃はそれが正しかった。輝かしく、誇らしかった。今ならわかる。そんなものまやかしだ。命を懸ける結果に陥ってしまっただけで、正しいわけではなかった。そうであることを、受け入れてはいけなかったのだ。


「…なんで、」


救助した女の子は、辛うじて生きている。膝から下の損傷が激しく、切除する可能性が捨てきれないながらも、生きている。


「……なんでっ」


がくりと力が抜けた。出久はくずおれた名前につられたように、俯いてぼたぼたと声もなく大粒の涙を床にこぼしていった。


「…勝己が、生きてなきゃ、そんなの、」


――いつ、目が覚めるか。もしかしたらこのまま、目が覚めないかも知れません。脳の損傷が、あまりに酷く――。

顔の半分が包帯で覆われて、露わになる左目は穏やかに目蓋を閉じている。眠る時でさえ時折眉根を寄せていたというのに、こういう時ばかり綺麗な寝顔なんて。

命懸けで救けて、貴方は英雄になって、私の隣から消え去ってしまう。幸せにしてやるといっていたくせに。
貴方の鼓動を嗤うような、甲高い音は止まない。

MHA



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