とっても短いお話
mha hqは専らTwitt

▽2020/10/13(22:37)

TOV
アレクセイ娘夢主がアレクセイの傀儡に甘んじるIF
「はじめまして。シュヴァーン隊副官の名前・ディノイアと申します」

かの平民英雄の副官を務める彼女は、アレクセイ騎士団長の娘であった。隊長首席であるシュヴァーンが隊を空けることが多く、その代わりを務める名前とは隊長が集まる定例会議で遠巻きに見ているばかりであった。少し前にフレン小隊が晴れて隊に昇格したことで肩書きも一個隊の隊長となり、実質騎士団のナンバースリーの立場である名前の隣に座せるほどになった。
定例会議が始まる前にに軽い挨拶をと彼女に手を差し出せば、柔らかく微笑んでそう言った。
――冷たい人だと思った。いや、微笑みはまるで慈愛に満ちているいかにも市民を憂う騎士そのものであったが、漂う雰囲気の一欠片に違和感を覚えた。

「フレン隊長のお噂は予々。騎士団長閣下も喜んでおられましたよ。こういう言い方は少し嫌味のようであまり好みませんが、平民出身の方がこうして活躍してくださると市井が活発になりますから」
「そのようなお言葉をいただけて光栄です」

彼女は後ろで括った暗く青い髪を風に揺らせながら、目をすがめる。

「…貴方は、とても眩しい」
「――それは、どういう…」
「――いえ。各隊の隊長および副官が揃ったようですので、定例会議を始めましょう。本日の議題は先日からクオイの森周辺で起こっている――」



***

「名前副官!」
「――ああ、やっぱり、貴方とはこうなってしまうような気がしました」

バクティオン神殿で、シュヴァーンの隣に彼女は立っていた。

「――シュヴァーン隊長、ここは、」
「名前。閣下を任せたぞ」
「! ――……」

あんなにも、表情を歪めさせたところを初めて見た。

「シュヴァーン隊長、死なないでくださいね」
「――お互い、"それ"はないだろうに」



***

「名前、もう、お前だっていいだろうに」
「――レイヴン、と、呼ぶ方がいいのでしょうか」

ザウデでさえも、彼女はいた。

「貴方方がきたということは、イエガーは――」
「斃してきた」
「…そう、……イエガーのこと、隊長は、それが正しいと…?」

すらりと長い黒い剣を鞘から抜きながら、彼女は薄く微笑んだ。

「さあねえ…俺たちは、多分ずっともう間違えてばっかりだ。だから、名前。お前はもう自由にしていいんでねえの?」
「――無理だよ。私は、アレクセイを置いて行けない」
「名前副官! …貴方は、アレクセイの犠牲が間違っていると知りながら、それでもここに立つというのですか…!?」

音もなく、涙が溢れいていた。目の淵から顎を伝う雫はあまりに透明で、流れていることさえ気づけないほどだった。

「貴方は、眩しい。正しさとひたむきに向き合い続けるフレン隊長は――小隊長に、似てる」

剣を構える。足元の魔法陣に、誰もが身構えた。

「貴方みたいな目で、あの人(アレクセイ)の隣に立てればよかった」

TOV



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