とっても短いお話
mha hqは専らTwitt

▽2020/11/23(00:31)

MHA プロデクと飛び降り数秒前
「っなんで死なせてくれないの…中途半端に助けるくらいなら私の全部助けてよ! できないんなら引き留めないで! 離してよ…お願いだから…離して…」

屋上で泣きじゃくる背中ばかりだ。僕が知っているのは、君の丸める背中だけ。

「…ごめん、でも、死なないでほしい」
「あなたが勝手に私を助けた気になりたいだけじゃない、私の生きてく時間なんて背負ってくれないくせに、誰かのヒーローになりたいだけのくせに」
「そうじゃない! そんなこと、あるわけないだろ…!」
「じゃあ私のこと留めないでよ…死なないでじゃない、そんなの要らない。私は、死にたい。ヒーローなら叶えてよ」
「…ヒーローの僕が君を助けられないなら…ヒーローなんて、やめる」
「ばっかみたい! じゃあこれから目の前で死んでく人みんな助けてみなよ、私一人なんかじゃない、死にたいひとばっかりなのに、私は助けてくれるの? 明日死ぬ誰かは、昨日死んだあの人は、助けてくれないのに?」

答えがない。いつもいつも、彼女のいう言葉の何処にも正解がない。正しさが見つからない。手を離したくない。死なないで。死なないで。生きることが全部どうでもいい彼女の体温が意外と温かいことなんて知ったのはつい数時間前のことだけど。目の前にいる誰か一人だって見捨てるなんてできない。その他大勢を全部助けることなんて到底できようもないのに。

「ねえ、生きてなきゃ幸せになれないなんて誰が決めたの? 死にたいことが、死ぬことが不幸だなんて誰が言ったの! そんなの全部嘘っぱちだよ、やり直す決定権くらい、私にだってあるでしょう…?」
「それなら君は、なんで泣いてるんだよ…!」
「あなたが、なれもしないあなたの中の幸せに私を巻き込もうとするからだよ」

そうして、昇る朝日と入れ替わるように落ちていった。

MHA



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