とっても短いお話
mha hqは専らTwitt

▽2021/01/22(22:01)

magi 君青
三隊で着々と地位を築いているあたり
「おいナマエ」
「――セタ、アル、どうしたの?」

三隊勤務になってややもするとナマエの名を聞かない日はないほどにまで目覚ましい飛躍を遂げていた。元より騎士団の団長を務めていた父の背を見ていたからか、彼女の元来の気質故か、他者を束ねることにおいて秀でていたようで、定期的に行われる隊編成では同じ三隊のセレスタと共に副隊長にまで上り詰めていた。
その頃からか、十三隊で既知であったアルサスとセレスタの三人で行動を共にしている姿をよく見かけるようになった。言動も随分砕けていて、愛称で呼ぶようにもなった。

「ナマエ、お前さっきの指揮なんなんだよ――」
「あれは敵役があの場で――」
「セレスタ! 落ち着いて、」

ジャーファル様の前で、と猪突猛進にやってきたセレスタをなだめる役としてついてきたらしいアルサスは、ナマエの隣で書簡を持って立っていたジャーファルを一瞥して深く頭を下げた。セレスタはといえば、完全にナマエのことしか眼中になかったようで、はっとした顔を浮かべた後いきおい頭を下げた。

「申し訳ありませんジャーファル様」
「いえ、私は先に仕事に」

ではまた、とナマエに笑いかけると彼女は何処となく居心地の悪そうな顔をしていたが、大方二人の前でそういうのはとでも言いたいような顔だろう。もう随分見慣れた。自覚もしているが悪びれもしないのはそうでもしないと彼女はそういう立場にあることを忘れるからだ。八人将がひとりジャーファルの婚約者でありながら三隊の副隊長なんてとんでもない足場に立っていることをそろそろ気づいて欲しい。彼女が進みたい道に寄り添うことを決めたのは今でも変わりはないが、怪我は多い男は多い本人が無自覚にたらしこむ、とあといくつの不安要素が重なっていると思っているのだろう。そばにいる彼らにくらいは気張っていてもらわなければ困る。
はあ、と何度目かも分からないため息をこぼす。
もういっそ誰彼にも分かりやすい飾り物でも贈ろうか。いや、彼女はそういうのはあまり好きではないし、ジャーファルとて彼女の何某を縛り付けるような真似はしたくない。
なにかいい策はないものかと、シンドバッドの私室に無遠慮に乗り込みながらため息をついた。

mg



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