とっても短いお話
mha hqは専らTwitt
▽2021/03/11(21:39)
mha 爆豪「名前」
眠る前になるといつも、勝己はおまじないでもかけるように名前を呼ぶ。
厚い胸元に額を寄せながら、なあにと覚束ない返事をこぼした。背中に回された腕が少しの隙間も許さないというふうにきつく抱き締める。もう既に夢の中に片足を突っ込んでいる意識のまま勝己と呼ぶと、また名前と静かな声が一つ落ちた。
今日はおしゃべりな日なのだろうか。冴えているわけではない彼の声に意識を手放しそうになるのを懸命に引き留めながら、もぞもぞと姿勢を変える。胸元から顔を上げて、同じ枕に頭を乗せるとふやけた赤い瞳と目があった。
「…明日、なに食いたい」
「…ぅうーん……こうや、どーふ…」
「一品かよ」
「…たまごやき…」
「ん、あとは」
「…いっしょに…たべよ…」
「――ああ」
息を吐くような小さな笑い声がもれる。何が面白いのか分からないけれど、彼が幸せそうな声をこぼしてくれるだけで、今日も明日も柔らかくて温かな夢が見られる。
「かつきくん」
「なんだよ」
「…あしたも、いっしょにいよーね…」
当たり前だろと、勝己のひどく泣きそうな声を最後に暗い瞼がおりてきた。
mha