とっても短いお話
mha hqは専らTwitt

▽2020/05/16(23:30)

薬屋 深山木 秋
柔らかな風にカーテンが揺れた。ソファに寝転んでいた身体にかけてあったタオルケットが床でぐちゃぐちゃに丸まっている。薄い長袖のそれでは少しだけ身震いのする風を防ぎ切れず、寝起きて早々にくしゃみをした。


「風邪を誘ってるのか?」


ティッシュを探して彷徨わせていた手を止める。見上げれば背もたれに肘を突いて彼女を見下ろしている秋がいた。なんでここに、と在り来たりな台詞に彼はその形の良い唇を歪ませて、腕をのばして彼とは反対側に落ちたタオルケットを引っ掴む。ばさりと適当に広げられたそれは顔までもを覆い、額を指で弾かれた。タオルケットを挟んでいるのにもかかわらずなおも痛いとは。じんわりと痛む額を押さえながら肩まで剥げば、ひんやりとした空気が首筋を撫でた。暦上は春とはいえ、夜風はまだ冷える。


「風邪が私を誘ってるというか……」
「なんでもいいけど毎回馬鹿みたいに風邪を拗らせるのやめてくれる?」
「いつも独創的なお粥を有難うございます」

薬屋



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