とっても短いお話
mha hqは専らTwitt
▽2024/04/29(22:02)
TOV アレクセイ娘続き
「ありがとうございました。おかげで助かりました」
船から助け出したヨーデルなどという男は港に着く頃には意識もはっきりしているようで、ユーリたちが下船するのを下で待っていた。全員が船から降りたのを確認すると、物腰の柔らかいいかにも貴族らしいお辞儀をして微笑んだ。
それからユーリやエステル、リタの後ろに隠れるようにして立っていた#名前#を懐かしむような眼差しで見つめる。
「――まさかあなたとこんなところで会うだなんて、」
#名前#は罰の悪そうな顔をするも、彼を前に深く首を垂れた。
フレンも彼女についてはまるで知らないようで、不思議そうな顔をして二人を見ていた。
流れるような手慣れた貴族らしい仕草に、初めてエステルのような雰囲気を感じた。
「――ご無事で、なによりです」
「随分、久しいですね。……そんなに身構えずとも、大丈夫ですよ。あなたがここにいたこと、他言する気はありません」
ヨーデルの言葉にすこし驚いたような顔を浮かべて、眉尻を下げて笑った。いや、呆れや諦めといったものに近いのかもしれない。
「耳にも入らず、気にも留めませんよ」
ヨーデルと別れた後、まるでもう我関せずというふうに逃げようとした#名前#においと声をかける。案の定事が済めば素知らぬふりで人波に紛れようとしていた彼女は、かけ声に肩を振るわせると心底不思議そうな顔を浮かべながら振り向いた。
「――あなたたちの今後と関わるつもりはなかったのだけれど」
「なに、おんなじ屋敷に忍び込んだ仲だろ。それに、あんたもさっきまた後でって言われてたろ」
心底に、嫌そうな顔をされたことでむしろ好奇心が湧き上がるのを感じた。
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