小市民のうたは、あの子に決して届かない。 わかってる。わかりきったことなんだ。 全てのことが無駄なんだ。 だってぼくらは小市民。 指をくわえる小市民。 何にもできない小市民。 わかってる。 ぼくらはもう、じゅうにぶんにわかってる。 だけどそれでも、いいんだあ。 ぼくらはうたをやめないよ。 届かなくてもやめないよ。 無駄なことでもやめないよ。 なぜって、あの子が尋ねたら。 そのときはこう、答えるさ。 「うたをやめろと言われないから。 だれもぼくらに命令できない。 ぼくらの愛を、愛のうたを、 だれもだめとは言えないんだ。 愛することは、罪じゃない。」 あの子はきっと、知らないだろう。 ぼくらのうたを、ぼくらの愛を。 だけどそれでも、いいんだあ。 だってぼくらは小市民。 だれもぼくらに命令できない。 愛することは、罪じゃない。 |