| あとがき |
*「今度生まれてくるときは、全ての幸福が包みますように」(祐月と女社長) ・実は企画開始時から書き上がっていたお話。すべてはここからはじまった。多分。祐月には年上彼女!!年上でリッチな彼女!!っていうイメージがずっとあって、念願の夢が叶ってハッピーです。まあ内容は一番闇落ちルートですがね…!(はぁと)祐月が自らの幸せを望めるようになるには、長編夢主(ヒナリ)との出会いが必須条件となっています。このルートの祐月は社長にプチ軟禁されているので、ヒナリと出会う確率はほぼ皆無と言っても良い。=闇落ち。祐月はハッピーじゃないけど私は超ハッピー。長編だとすっかり丸くなってしまった感のある彼の闇というか、どうしようもなく自虐的な部分を書きたかったのでした。 ・社長と祐月の「幸せ」 社長は一応、社会的には成功して幸せです。ただどうしても、「女」としての幸せが満たされていないひと。それを祐月に求めます。が、その祐月はというと、内罰的すぎるためそういった一切の幸せを求めることを絶っています。彼女の身の回りの世話やサポートなど、彼女だけの幸せになることならいくらでも出来てしまいますが、自分も彼女と一緒に快楽や幸福を求めるということが許せないのでした。何度も自死を図ってはいるものの、本編の「朔月をも〜」あたりでのように、偶然や、またはキュウコンという種族特有の生命力の強さに救われてしまったり。もう、誰かに――彼女に殺してもらうしか手段はない。だから少しずつ、少しずつ、彼女の両手に自分の首を絞める感覚を覚えさせ、いつかそのまま殺してもらおうとしているのでした。そんなお話。 ・僕を絞め殺した感触を 私の大好きな版権キャラの一人に、新/世/紀/エ/ヴ/ァ/ン/ゲ/リ/オ/ン/の渚カヲルくんがいるのですが、彼の個人的名台詞に 「そう、武器は使うなよ。君は僕を絞め殺した感触をその手に残すんだ。そうしたら、君は僕のことをイヤでも忘れられないだろ?」 というのがあります。祐月が首を絞めてもらうという手段を選んだのは、もしかしたらカヲルくんのように、彼女に自分を殺した感覚を忘れないようにするためだったのかもしれません。ナイフよりも、手で。血の、神経の通った貴女の躰で。 ところで、彼女は祐月をプチ軟禁しています。絶対に外に出そうとしません。グレンなんてもってのほか。祐月のいちばんの願いが、自分もねえさんたちの死んだグレンで死ぬことであるならば、彼女はその願いが叶う可能性を奪い取っているわけです。そう考えると、自分を絞め殺す感触を覚えさせるということは、自分を閉じ込めた彼女への復讐、ともとれます。闇(^_−)−☆ でも逆の可能性だってありますよね!自分のことを決して忘れないで、なんて、ある意味すっごい熱烈なラブコールとも取れるじゃないですか…。祐月にとって彼女がほんとうにどうでもいい人だったら、自分のことを覚えさせようなんてしないと思うんです。むしろ死に様なんて見せないと思うんです。好きの反対は無関心!だけど死に様を見せて、さらに自分を直接その手に覚えさせようとするなんて、もしかしたら祐月なりの最高の信頼表現・愛情表現なのかも。小市民いちの両思いかもしれません…。まあ彼女からしたらたまったもんじゃないですね!!ぜってーいやだわ!! ・惨めな女 でも彼女はきっとさいみんじゅつを使われなくても、全ての記憶を取り戻しても、祐月を手放さないんだろうなって思います。それでも愛してほしいと訴え続けるんだと思います。惨めな女的なのすごい好きです…。 ・ちなみに、初/音/ミ/ク/の「ゴ/シ/ッ/プ」って曲が部分部分でぴったりだな〜って思いました。「枯れたこの身体に 甘い言葉より 愛ある暴力が欲しい」なんちゃってえ〜☆ *「やがて、うららかなるあなた」(幼少期ヒナリに恋した少年) ・夢主の夢って何なん!?と自分でキレて、パス付きになりました。さらに調子に乗りまさかの6話構成。もう中編でいいやんけ。何なん。マジ何なん。短編企画ちゃうんかい(ブチキレ)。まあ形式はともかく、内容的に書きたいシーンがいっぱい書けたので楽しかったです!夢主、というかヒナリのグレン以前の過去について、長編では序盤にほんの少し触れるだけとなっています。ポケモンと会話できるという能力のおかげで、人間関係が不得意。母親を畏怖している。各地を転々とする日々…程度の情報しかなかったと思います。が、実際何があったの?ってのを私の中ではっきりさせるためにも、この話を書いた意味はあったかな〜と思います。 ・ヒナリと人間 本編中で彼女の周りにいるのはほとんどがポケモンです。人間はカツラさん、おばあちゃん、ヒビキくんやコトネちゃん、それから彼女をつけ狙うキリノくらいしかいません。まあポケ擬夢ですからね…(笑)なので、ここまでがっつりと彼女に絡んできた人間はこの少年が初めて!彼という人間から見たヒナリは、とっても変な子、です。ヒナリは母親から「子供」である前に「特殊な子」として扱われてきたので、普通の子が踏むべき子供社会での甘い辛いを経験できなかったのです。それがさらに子供社会の中に馴染めない原因になっています。途中で女子グループが、彼女の悪口を言うシーンがあります。あの内容はヒナリ自身が言っていたように「ほんとうのこと」。女子グループたちは的確にヒナリという人間の特徴を指摘していたのでした。 ・えいちゃん 構想の時点で仮称がA子だったのが名前の由来。(←これすごい書きたかった)どこのクラスにも一人はいるような、天然で純粋、天使というレッテルを貼られ、周りから可愛がられる子。実際彼女はすごく「良い子」です。良い子だからこそ、ヒナリを信じたのでした。でも彼女が信じたのは、ヒナリの嘘。だからこそヒナリを傷つけることとなりました。「ちゅうちゅう、かわいいね」は、できるだけむごくなれ…むごくなれ…って念じながら書いてました。少年とはその後、ヒナリを探すために少し協力をしていたようです。 ・少年の変化 ポケモンのことばを理解できるという、泣き虫な少女。そんな彼女に、この少年は少しずつ好意を抱きます。そしてそれは男の子らしい、ヒーロー願望へと繋がっていきます。おれが彼女を救わなきゃいけない。そうは思うものの、彼は自称するように「ガキ」です。まだ感情の暴走を抑えきれるほどの余裕はありません。たくさんのあやまちを重ねます。何度も後悔しながら、それでもどうしたら彼女をほんとうに救えるのか。彼の行動理由は至って明快です。ヒナリがいなくなったあとも、彼はその行動理由を変えませんでした。彼女のヒーローになりたい。彼女を正面から愛したい。表向きはそうですが、それは無意識化で性欲とも繋がり始めていました。こんなの長編の手持ち共にはさせられないので、少年よほんとにありがとう。大感謝。 ・挫折と絶望、小市民の劣等感 最後のページが書きたいがためにこの話書いてたようなものです!彼方たち、表舞台の奴らには敵わないのです。所詮彼はモブで、小市民なんです。あ〜かわいそ〜!!(ハッピー)しかもここ、ヒナリが認識できない状態にあるところがミソ。ヒナリが彼を認識していたなら、辿る道筋は変わっていたかもしれないのに!でももう彼がヒナリの前に姿を現わすことはないでしょう。それは、出くわしたタイミングの最悪さにもあります。本編9-2と繋がっているのですが、あのときの彼方は異常です。漣たち仲間でさえも慄くほどの、異常な怒りを露わにしています。あの彼方は、誰よりも騎士であったと思います。彼方がやっぱり、ヒナリのヒーローです。すっごい悪役ヅラしてるけど。少年…というかこのときはもうエリートトレーナーですが、彼が出くわしたのがもし別の場面だったなら。彼はヒナリときちんと再会することができていたかもしれません。でもその可能性絶たれちゃったね☆ざ〜んねん☆あそこまで自分自身のモブ具合に絶望しちゃったらもう帰ってこれません。ちゃんちゃん。 ・エリートトレーナーのその後 最後のシーンはほとんどが独白であり、ほとんど情景描写をしませんでした。……わざとってことにさせてください( ; ; )なので彼があれからどうなったのかは、私も知ったこっちゃねーです。だってモブちゃんだから〜☆逆にどんなことになってそうか、教えていただきたいくらいです…。個人的には、カイリューとカメックスに「元気出せよ」って背中ぽんぽんしてもらってたら可愛いなって思います。 ・ちなみにこの話は構想の時点からずっと聞いてる曲がありました!b/a/c/k/ /n/u/m/b/e/rの「ス/ー/パ/ー/ス/タ/ー/に/な/っ/た/ら」って曲です。「スーパースターになったら迎えに行くよきっと 僕を待ってなんていなくたって 迷惑だと言われても」ってね!すごくインスピレーションをもらいました! *「小市民のうた」 「小市民」の表向きのコンセプトは、「語り手がモブ女子(男子)」「SNSの存在する世界」ということでした。が、裏向きというか、書き手側のコンセプトとして、「私ごときじゃあの子に敵わない」「恋してはいけない人への恋」というのがずっとありました。なので実はほとんどの話に、「自分なんかじゃ」という要素が含まれている…はず。たぶん。そういった劣等感って、よっぽど人生順風満帆でもない限り一度は味わったことがあるものじゃないでしょうか…。まあそれでも、考えたり思ったりすることは悪いことじゃないと思うんですよ!そういうのはだいたい「やがてうららかなる…」の最後で書き切ったので、ここで言うことでもないですね。なんかそれっぽいこと言って終わります。 小市民よ、永遠なれ。 ところで、本屋さんとかで本を手に取った時、あとがきから読むような捻くれた人はいませんか。私です。今もあとがきから読んでる人っていたりするんですかね…。もんのすごいネタバレの嵐しちゃいましたけど、これから読んでみようかなと思ってくださっている方の指針にでもなったら幸いです。今度こそおわり! |