まばたきの数で合図
笑い声、誰かが誰かを呼ぶような声、そんな賑やかな街の様子、耳を澄ませば聴こえてはきていた。不思議だと思うのは同じように声を出していても同じようには届かない。外の空間的な広さの方に吸い取られていくのだろう。そんな寄港地の島の一端でアレコレあった私達は太陽様が高いうちから宿をとってしまった。性欲など皆無だと思っていたゾロに欲がある事を知ってしまった。
私は後悔などしていない。色々やらかしてしまっている事はあるけれど、後々何とか出来るモノだって世の中には売っているし、船に帰れば名医であるチョッパーに頼む事も出来るであろう。ただしそれにはかなりの勇気が必要だ。
何がってナニである。熱に浮かされ、そして身を守る為でもあった。何しろそういった知識なしの童貞男のヤる事など到底馬鹿みたいな事しかしないからで、身体が砕けそうになる前に収まっただけでも良しだろう。冷静になりつつある頭、けれどお腹の中にはたっぷりと残っているもんがある。目の前の熱がおさまらない目から逸らしたけれど、そんな男に今何を言おうかどうかと迷っている。心臓を握り締められたように痛くなる気持ち、それに反して身体は火照った状態が冷め切らない。
「ぞろ…、その今のじょー…たいだと」
「どういう事だ?」
こうして何から何まで一から十まで全て言わないといけないのだろうか。急速に顔に集まりだす熱を思わず片手の甲で庇う。私がせがんだ形だけれど、だってゾロが中に出したんじゃん。馬鹿みたいに熱が上がっちゃって欲望任せに身を任せてしまって、そして欲しくて欲しくて強請ってしまった結果がお腹の中だ。借りた部屋の扉付近でやらかして、ようやくこのベットの上に下ろされたわけだ。今更、中に入った白濁液をどう処理しようかと私は考えている。けれどこのまま再度突入しかねないゾロの様子が見てとれて、思わず待ったをかけたのだ。
「あのさ、ゾロの…が、お腹に入ったままだから、…えっと処理したいなって…その、溢れちゃう…から」
「……。あぁ」
ゾロ、多分何が何だか分かってないでしょう?そう気付きつつもとりあえず返事はもらえた。顔から火が出るかと思うほどに恥ずかしい、分かれ、知っとけ、なんでこんな事言わないとならないとばかりに出来るだけ吊り上がりそうな表情には気をつけた。あちらを向けとばかりに指差しつつ、枕元にあるティッシュに手を伸ばす。数枚とった紙の束、それをおずおずと股の間にティッシュを当てがった。
「……てめェは、どうするつもりだった」
「んー…そういう薬あるし、その…だって、その、ぞろの…さっき欲しかったんだもん…」
一拍の空白の時間、私の要望通りに顔を逸らしてくれたゾロ。太い腕、手で髪をかきつつ溢した一言。今だけはゾロが一応言葉を選んだという気が伝わって来てしまって無性に泣きたくなってしまった。なんだかんだで、ゾロがすると言った宣言通りにやってしまった行為であった。欲があったのは理解したけれど、どこまでもゾロはやっぱり不本意かもしれないという概念が捨てきれなかった。仲間内だからこそ心配する、気遣うのかなと思い始めつつも、ゾロの心配にはちゃんと安心感を与えないとと思った。欲しかった、欲しかったよ、ゾロから与えられる欲ならばいくらでもとまだまだ追加で言える言葉は飲み込んだ。ゾロが実際問題何を思っているか、私のことをどの範囲で想っているかは不明だ。けれども下品な言い方ならば私で勃つのは証明されたわけだった。
「貸せ」
「え、」
「拭けば良いんだろ」
「っ、いい…!私がするから…!」
「誰やっても変わんねェだろうが」
「…っ!変わる…!なんかだめ…っ」
「変わんねェ、足開け」
「ン…っ!ぁ、ちょ…」
デリカシーをどこに置いてきた。方向感覚と共に捨ててきたのか?あろう事か馬鹿みたいな力で私の閉じていた太腿に手をかける男がいる。はい、これがマリモです。キスをしてくる際に緑の髪でチクチク私の手を刺激して、ゾロだということをアピールして私の心情を狂わせてくる男だ。馬鹿だ、童貞やめて、あ、童貞今消失させたから経験済みの男になるんだろうか。ともあれ、人の開いた脚の間に身を置くゾロの目の前で盛大にご開帳などレベルが高すぎてしまう。
「っ、やだ…」
見られた瞬間、お腹の中が収縮するような気がした。そして開かされた脚の間から温い液体が溢れ出る感覚があった。そして同時に私の欲まで混ざっているのではないかという不安がある。
「白いモン出てきた」
「…っだしたの、ゾロじゃん…」
「よく分からねェが、全部出しといた方が良いんだろ」
「っだから、これは恥ずかしいんだって…ん」
自身でもよく見えない場所、そこに降り注ぐ視線。その注視の中で体の中にある溜まっていたゾロの精液を必死に絞り出している。波のように、こぷ、こぷとゾロが手にしているティッシュに体液溜まりを吐いていく。むり、死ぬ。って私簡単に死んでばかりじゃんと思いつつも羞恥から目が逸らす事は出来なかった。何しろ意地悪な顔をしていると思うのに、どこかその表情の陰に柔らかさを感じ取ってしまった私の頭があるからだ。ゾロは意外と悪い顔で笑う、けれど今の表情からはそれよりも柔らかくて、それを向けられているのが自身だと思うともう目が離せなかったのだ。
「ここまで入ってたな、しっかり入るモンなんだな」
「ン、お、お腹触らないで…」
下腹部に当てられた手、伝わるその皮膚の厚さと逞しさがあまりにもゾロで、ギュッと身体に力が入ってしまった。そして同時にこぷと大量の精液が溢れた気がした。大量に注ぎ込まれた事の証明のように身体から溢れ出ていく白濁液、いっぱいくれたのだと思うと触られた下腹部の真ん中が興奮を呼び起こす。こんな人間じゃなかった、欲があるけれどここまで求めようとしてなかったと頭を過ぎる。こんなにもお互いの欲望混じりの体液をゾロに処理させておきながらまだ長年積み重ねてきた欲も想いも伝え切れてはいないようであった。
「…まだ残ってたか」
「ぁ…、ぞろ…やだ…、っ恥ずかしいって」
「恥ずかしいもクソもねェだろ」
「ん!ぁ…、まっ…」
あろう事か溢れ出している女の身体の一部に指を突っ込んでくる男。そんな物理やめてとばかりに身を捩る。ただでさえ忙しい全身状態なのに、敏感な部分に太い指を突っ込まれてはおかしくなってしまう。入った指は遠慮なく内壁を指の腹で撫でてくる。撫でているわけでないのは分かる、そう掻き出されているのが分かる、何しろその都度まだまだ体内に残っていた白濁液が女の入り口から溢れてはゾロの手に持つティッシュに受け止められているからだ。
「ん、ん…、」
「……。もういらねェか」
「へ…?」
「考えりゃァ、また出すんだから意味がねェ」
「ぇ、」
受け止めた紙を丸めてその辺に放り出したゾロを見つめた。笑う口元から少し恐怖を感じている。セオリーガン無視で腹を撫でてくる男、ただその手の下の私の腹部は疼いてしまっていた。
「またてめェん中に出したくなった」
「あの、」
「後ろ向け」
「っ、ゾロ!まって、そのこの行為…その…あの体勢だけじゃなくても出来るから…っ!」
「あぁ?」
「も〜〜…っだからぁ…!こういう事…」
涙が出そう、女を抱く知識くらい多少は知っておけよ。そんな脳内で罵りつつ両手で左右の脚の膝裏を抱えた。こんな体勢を女の方からさせるな、マナー違反だ海軍に捕まれ、どれだけ言葉を重ねても顔の熱さはとれやしない。
「…っ、…早く入れてよ…」
「ッ…」
自ら両手で脚を抱えて、まだ溢れてきそうな秘部を晒せば一瞬であった。そう、ゾロの背中に回した脚を絡めるのもだ。踏み台にしかならなかった行為に苦笑をしてしまいそうだった。
「確かに悪くねェな」
「っ…!」
奥にくる圧迫感に脚から手を離して両手で口を抑えた。そうでもしないとならないってさっき学んだから、どう考えてもさっきは部屋の外の通路を歩く人達にモロバレだったから。邪魔だとどかされた両方の手は、ゾロの手の指に絡み合うように絡ませた。けれど盛大に指と指の間を広げてないと絡み合わなかった。握り締められた手、こんなにも指開く事なかった気がする程にキツい。そしてそのままシーツに押し付けられてしまえば幸福な圧迫感が襲ってくる。身体から伝わる身体の固さ、自然な筋肉の盛り上がり、力が入った張り詰めた筋肉の部分が全身に触れる。あー、やっぱ胸って邪魔じゃん、単なるクッションだわと思ってしまうとかもう私は落ちていた。虹を見る為には雨を我慢するように、どこか歪で募らせてきた想いがいま花開くようにすら錯覚しそうであった。そうして唇に噛みつかれつつあとは落ちるところまで落ちて没頭する事になる、そんなゾロとのひと握りの幸せはまだまだ手放せそうにない。