夏侯惇

「その目はどうした」

「敵に射抜かれました」

塞がれた左眼。視界の半分は黒く塗りつぶされている。

「不覚を取った反省はしています」

牀から下りて頭を下げようとする私を制して、一言。

「―――らしくないな」

心臓が大きく飛躍する。言えるわけがない。あなたと同じようになりたかったなんて。死んだはずの左眼がじくじく痛んだ。





言えるわけがない

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指先