明日も朝から仕事で、もう眠らなくてはいけないことは判っている、はずなのだが。
そろそろ寝ようと布団に入って、おおよそ三十分。「そうだ」と何かを思い出した様子の彼女が携帯を手に取り、以降ずっと操作し続けている。画面を一番暗くしているようだが、それでも目に痛い白が頬を照らして、何とも不健康そうな見た目だ。
「……あ」
ひょい、と携帯を取り上げると、彼女は不意をつかれたような顔をした。
「いつまでいじっているつもりですか? 明日起きられなくても起こしませんよ」
「ごめんなさい、つい」
「夢中になるのは構いませんが、時間には気をつけてください」
「……気をつけます」
反省、とばかりに眉を下げたのを見て、銃兎は彼女の携帯を充電器にセットした。それから 眼鏡を外し、サイドテーブルに置く。
「もしかして銃兎さん、私が寝るの待ってましたか?」
「いえ」
「でも、眼鏡してたら寝れないですよね……?」
「……」
待ってなんかない。ただ、どうせ一緒に眠れるなら抱きしめたくて、ついでに真っ赤になりながらもぴたりとくっついてくる彼女を見たかっただけだ。
「……とっとと寝ろ」
至極雑に誤魔化すと、銃兎はぐっと彼女を抱き寄せた。胸元に押しつけるようにすると、んぐ、と、少しばかり苦しげな声がした。
ほんの一瞬でぽかぽかになった彼女に、銃兎は密やかな笑みを浮かべた。