大きな窓の向こう側に小さな輝きがひしめき合う夜景が見えた。なまえはほんの僅かな時間、その夜景の一つ一つの輝きを数えては途中でやめた。数え切れるはずもない、ただでさえどこまで数えていたのか分からなくなってしまうのに。そんなことより優先させたいのは、ドレッサーの鏡面に映る未完成な女の顔だ。

 手元に横たわっているのは使い慣れた化粧品ばかり。どれか一つが欠けても完成しない、女の化粧は全てが揃って初めて完成する。大きな黒目の縁をなぞるのは黒のアイライナー、ビューラーで丁寧に上向きに癖をつけられた睫毛は綺麗なカーブを描き、瞼を彩る濃淡のナチュラルなグラデーションはブラウン系のアイシャドウだった。幼さの残る薄いピンクの唇をブラウンレッドのルージュで蓋をしてから、髪にブラシを滑らせた。流れるのは黒、何度も乱れのないようにブラッシングすれば、後は彼の到着を待つのみ。


 なまえは今夜、神室町のとあるホテルの一室で真島吾朗と会う。二人の男女の溜まりに溜まった欲求を解消する為に、なまえと真島はこの一室で肉欲のままに食らい合うのだ。このような夜は初めてではなく、今までもこうして何度か夜景の綺麗なホテルに呼び出されることがあった。そのお陰で真島も男なのだと実感し、そして自分もまた女なのだと実感する。
 一人で眠るには広すぎるベッドに寝かせておいたチャイナドレスは青、スリットは深い割にその丈は短い。ドレッサーから離れ、それを手に取り、袖を通せば、独特なつるつるとした感触に肌が擦れて気持ちがいい。着心地の良さや見た目の可愛さに、真島も妙な贈り物をしてくれる。彼が何を考えているのか、それは彼の女であるなまえでさえ、分かるはずも無く。大きすぎず、小さすぎないチャイナドレスに真島の気遣いを見つけ、物思いを一つ。この物思いが何だったのかを一瞬で忘れてしまうほどになまえは頭の中を真っ白にさせられる、やっとここへ到着した真島の声によって。


「おどれは今日もえらいべっぴんさんやないかァ、」
「真島さんに会うって知ってましたから。」
「俺に会うからそないめかしこんで来たっちゅうことか?健気やないか、唆られてまうわァ、」

 真島さんが自分で用意したの忘れちゃいました?と囁けば、ヒヒヒ…といやらしい笑みを零しながら、裂けてしまいそうな程に口角を吊り上げる。真島の笑みにつられて細まる瞳で捉えたのは、真島のギラギラとした危ない目つきが、なまえの整えられた姿をしつこく吟味している様だった。
 パイソンジャケットを羽織り、黒の革手袋を着けた、ヤクザの男。その男は口角を吊り上げたまま、こちらへ近付いてくると真っ先になまえの髪を撫でた。正確には頭を撫でているのだが、髪の流れる様を観察するように、その髪の柔らかさを確かめるように、革の指先が黒檀の束を絡めていく。真島は綺麗に仕上がったなまえの姿にどこか満足そうで、なまえもまた真島のそれを感じ取ると、素直に頬を熱くさせた。

「今日はとても可愛らしいものを着せてくれるんですね。」
「せや。ええやろ?なまえによう似合う思て、態々用意しといたんや。」
「でも、こんなのが趣味だなんて初めて知りました。」
「阿呆な方がよう燃えるなんぞ、昔からのことやろが。」
「今の真島さん、映画に出てくるマフィアみたい、」
「あァ?マフィアちゃうわ、ただのヤクザや、」
「ふふ、知ってます、」
「ま、映画みたいにええ姉ちゃんを抱けるんや。今のは勘弁しといたる。」

 えっちな人、なまえちゃんもやろ、また会えて嬉しいです、死なん限り何度でもなまえちゃんの前に現れるで、俺は。ふざけた物言いでも真島の口からそう聞けたなまえはすっきりとした気持ちで、真島の手を取った。革手袋の上から指を絡め、その手を引いてベッドへとゆっくり歩き出す。今夜も愛おしさを孕みながら、真島の秘めた愛おしさに抱かれたい。


 ベッドにふんぞり返る真島の大きく開かれた股の間に、なまえは座り込んだ。頭を真島の膝に置き、口元には微笑みを一つ、見上げる瞳。革の指が触れる度になまえの目は穏やかに瞬きを繰り返す。黒い髪はその青いチャイナドレスに良く映えた。丈は短く、胸元もちらりと肌色が見え、大腿部さえも覗くスリットと露出の多いもので、華美なドレスからは白く肉付きのいい脚がひっそりと伸びている。


「べっぴんに見上げられんのも悪うないわ、」
「良い男を見上げるのも悪くないですね。」
「奇遇やなァ…、俺となまえちゃんは同じこと考えとったっちゅうことやろか。」

 遂にやらしい手つきが頭を離れ、頬や口元にやって来る。飼い猫の顎を撫でるような革はもどかしい程に優しく触れた。しつこく肌を愛撫する真島は、早うやりたなってしもてあかんわ、と笑う。その笑みに、なまえは伏し目がちに瞳を逸らした。唇に歯を立て、きゅっと噛み締めている。やめとき、と真島の指先が歯を立てられた下唇に触れ、なまえはそれをやめた。

「それでええ。今日のお目当てはなまえちゃんや。」

 俺より先に傷物にしたら、あかん。噛み締めた唇の隙間に自分の指を滑り込ませ、噛んだらええ、と静かに言い放った。恐る恐る見上げた真島の歪んだ口元に言われるがまま、革の指に歯を立てれば、ぞくりと何かが背筋を走る。そこからはぞくぞくと興奮を何度も塗り重ねて、なまえは体に熱を蓄えていった。
 ほな、早速やってみよか、なまえちゃん。そう促され、体の芯がより一層熱くなる、これからなまえがすることは端的に言えば奉仕そのものである。


 呼吸に膨らんでは萎んでいく腹部を見つめながら、なまえは真島のベルトに手を掛けた。カチャカチャと音を立ててベルトを外す、その行為がとても淫猥なものに感じられ、確実に自身の欲を煽っていく。革のパンツのボタンも外し、ジッパーも下げ切り、難無く、事はスムーズに運ばれる。
 そこにあったのは窮屈そうに収まっている硬い熱だった。目の前が不意にチカチカと眩んだ、淫らである部屋の空気に酔ってしまい、なまえは深呼吸を挟む。心拍は上昇する、どくんどくんと自分にしか聞こえないそれに合わせて体の熱も上がっている気がした。
 熱の上がっていく勢いに全て任せて、なまえはその硬い熱に指を這わせ、取り出すと今度は舌先を這わせる。ぬるりとしたそれが大きく脈打つ血管をなぞっては熱を濡らした。そして、歯を立ててしまわぬように注意しながら、なまえはその熱を口に収めた。舌も口内もぐちゃぐちゃに唾液と熱に掻き回される、上だろうが下だろうがお構い無しに肉を犯す。深く浅くの繰り返し、切なそうな吐息と声を聞き、一心に欲にしゃぶりつく。

 卑猥な水音は部屋に長く響いた、真島が達するまでそれは続く。吐息は嫌でも耳に入る、どこか焦れったそうに動く足元も見える、口内の熱はその時を待っている。見下ろされている、自分が一心不乱にその熱を口内で扱いている様を、真島の悪い遊びに付き合わされて欲情している姿も何もかもあの隻眼に見られていた。
 びくりと腰が跳ねた、動きを止め、熱を咥えたまま真島を見上げれば、焦らされている真島の余裕のない顔があった。しかし、口元は愉しげな笑みを浮かべ、何かを待っているようだった。それはきっとすぐに訪れるだろう絶頂だけではない。再び緩やかに頭を前後、又は上下させた。真島の目前にある絶頂をなまえは懸命に手繰り寄せている。

 今度は大きく真島の腰が跳ね、生暖かく吐き出される精を舌先で受け止めた。吐精が終わるまでなまえはゆっくりと鼻で呼吸をしていた、自分の濡れた口内が生臭い欲を孕み終えるまで待つ。一度目の射精を終え、なまえは舌先に重く濃く絡み付くそれを持て余していた。すると不意に真島の指がなまえの喉に触れ、そこを何度も指の背で撫で付けた、何かを告げるように。


「服、汚さんようにな。ええか、なまえちゃん。」

 男性のものとは比べ物にならない控えめな喉仏を真島の指が撫でて行く。上から下へと指の背は喉仏を撫でる、口の中には吐き出されたばかりの精が残ったままになっている。つまり、これは自分のものを飲み込めという意思表示だった。なまえはこの行為も遊びの内だと、ごくりと喉を鳴らしながら精を喉奥へと追いやっていく。絡み付く感覚に上手く飲み込めない、ゆっくり少しずつ、それを受け入れれば、真島の顔は恍惚感に緩む。

「綺麗な顔が歪むっちゅうのも興奮するやないか。まァ、こないなもん飲まされたところで、不味いだけやろがなァ、」
「ええ。おいしくはないですけど、真島さんの満足そうな顔を見ちゃったら、」
「……待ちきれん、そう言いたいんか。」

 潤んだ瞳で頷き、なまえは唇を自分の舌で濡らした。そして、次へ誘導されたなまえは真島が腰掛けるベッドのサイドテーブルから一つ小さな包みを手にすると、それを破り、中からコンドームを取り出し、緊張する指先でそれを熱に装着していく。
 ある程度、それを一定の長さまで伸ばした所で、更に次を要求され、なまえは履いていた下着を脱ぎ捨てて、未だふんぞり返る真島の上に影を落とす。滾る熱の上にはなまえの下半身がある、なまえは膝立ちの状態で真島の肩に手を置いていた。

「女に迫られるっちゅうんもええやないか。俄然、やる気が出てきたわ。」
「こんなに積極的に迫ったのは真島さんが初めてです、」
「ほぉん、それは光栄なこっちゃ。」
「ねぇ、真島さん、」
「…なまえちゃんのしたいようにしてみぃ、」

 その言葉にじわりと熱が溢れ、ゆっくりと腰を下ろしていく。今回は敢えて趣向を変え、このような事をしていると分かっていても、浅はかに期待する肉体がある。挿入時のあの感触や感覚を知っている、酷く弱い所に滾る熱を受け入れさせ、何度も肉を擦り、抉っていくあの感覚を。理性が死ぬ瞬間である、淫らなものによって理性を奪われていくあの圧倒的な支配力を前にしては抗えない。
 その相手が好いている真島だからこそ、余計に言われるがまま身を委ねたいのだ。自ら挿入の為に腰を下ろしていく自分に羞恥心が掻き立てられる。熱に微かに触れるだけで体はびくん、と臆病に跳ね、このまま腰を沈めてしまえば、この熱がなまえの中を犯すだけだろう。確かに、着実に肉壁を掻き分け、中へと侵入してくる熱に身を震わせながらなまえは自身を自ら貫いた。
 迫り来る快楽に身を震わせていると、悪趣味にもその蕩けた顔が見たいと真島の手が伸び、なまえが見たのは嬉々として自分を鑑賞している真島の姿だった。


「ま、真島さん…、」
「いつもとはちゃう、見たことないなまえちゃんの顔や。やらしいのぅ…。」

 体がゆっくりと熱の形に馴染んでいく、一度快楽を与えられてしまえば後はただ貪欲にそれを求めるだけ。求める体に理性は無く、なまえは羞恥心を胸にひたすらに腰を動かした。動けば動くほど独り善がりのように思え、結合部から聞こえる水音に何度も羞恥する。真島も何かに耐えるようなあまり余裕のない表情で、なまえの乱れていく姿を見ていた。
 ぐりぐりと内壁を抉る感触がたまらなく気持ちいい、熱に浮く。だらしなさが滲むなまえの顔を見た後、真島は空いていた手でなまえのチャイナ服の裾を掴むと、それを捲り上げた。


 真島の硬い熱を何度も上下して扱く局部があった。てらてらと装着しているゴムは愛液に濡れ、密着しては離れる秘部の早急さになけなしの余裕が摩耗していくのが分かる。これでは一体どっちが奉仕をしているのか分からない。
 真島のものを使ってなまえが自慰をしているのか、なまえのものを使って真島がセックスをしているのか。ゾクッとしたものが真島の体に走る、おぞましい程に暴力的な生々しい行為を目の当たりにし、思考回路は容易くスパークする。使い物にならない頭はチャイナドレスの裾から手を離すと、今度はその手で胸元を留めているボタンに手を掛けた。

 一つ、二つ、とボタンを外され、胸元は露出を強制される。乳房を柔く引っ張り出され、上下に揺れるそれに真島の鼻先が沈んでいく。鼻先が何度も肌に触れ、乳房に密着する口元はもぞもぞと動き、膨らみを食む。なまえの胸元に顔を寄せた真島はその上下する体を抱き締めた。背中に腕を回し、張りのある唇は膨らみだけではなく、谷間や鎖骨へと触れては離れていく。

「……なまえちゃんもホンマにようやるわ、」
「え……?」
「俺も最初はな、こないあったま悪そうなモンやって何がええねやって思うとった。なまえちゃんも最初はあほらし思うたやろ?」

 せやけどなァ、段々とヤってる内にな、なまえちゃんとなら、ええかもなァ、って思うてきとる。意外な真島の告白になまえは身を震わせた。真島の言う通り、なまえも最初は乗り気ではなかった。いつもとは違う恰好を、いつもとは違うシチュエーションを求められたからだ。台本書きされた行為をなぞっていく内に、簡単に理性を潰され、快楽を貪り、乱れていく自分に恐怖があった。それなのに、こんな痴態を晒しているのに、真島はそれを悪くないと言い放つ。

 体が、頭が、思考が、心がじっくりと慣らされていく。淫らであることを否定せず、共に頭のネジを何本も吹っ飛ばし、変態という言葉で片付いてしまうようなセックスも良いと。偏見を持っていた特殊な行為に馴染んだのはなまえだけではなかった、真島もなまえと同様に拡張されていた。そうであると知れば、知ってしまえば、後は随分楽になるだろう。


「私も、真島さんも、これがクセにならないといいですね。」
「せやったら、締め付けんのやめぇや。説得力がないで。」
「真島さんも今日はやけにがっつくじゃないですか。」
「……なんや、お互いにその気があるっちゅうことか、」
「ダメですね、私たち。」
「溜まっとったからな、俺も、なまえちゃんも。」
「続き、しませんか、」


 せやな、なまえちゃんのおねだりならしゃあないわ、と目を細めた真島の顔にいやらしさはなく、余裕が薄れてしまったように感じられる真島の中に、閉じ込めたままの熱があるのだと察した時、互いの唇は触れ合っていた。先に触れたのはなまえから、結末を急かす熱いキスだった。深くやや強くぎゅっと体を抱き締め合えば、貪欲に体は再び揺れていく。短い呼吸に限界が近付いてくるのを感じ、真島の名を呼べば、絶頂に焦らされている真島の飢えた顔が見えた。

「なまえちゃんも、そろそろ頃合いやろか。」

 ただそれだけを口にした真島は困ったように眉を下げ、なまえの顔を見上げる。絶頂への階段を上り詰めていく真島の貪欲な動きに、なまえは口から漏れていく嬌声を止められず、同じように自らもその階段へと足を踏み入れていった。
 乱暴で、独りよがりで、貪欲で、快楽にしがみつく真島は何度も大きく息を吐いた。大きな呼吸になまえもゾクゾクと震える体に、直に訪れるだろうその存在を意識させられる。頭が徐々に真っ白に塗り潰されていく中、真島は先に呻いた。

 その声に触発されて視界は暗転。気がついた頃には、体中を駆け巡る熱い快楽の波に呑まれた後だった。自分の体の内側で何度も収縮が繰り返されている、未だ彼のものを咥えたままのそこが。声にならない喘ぎは二人が落ち着くまでの静寂となり、二度目の精を吐く真島も、ずっと続く快楽の余韻から抜け出せないなまえもただ体を震わせていた。


「流石に、連続はキッ…ついのぉ……!」
「そう言う割に、元気じゃない、ですか……、」
「ど阿呆…!あったり前やろが……!咥えて出してそこで終わりになんぞ、出来へんやろが…!」
「……優しいんだか、えっちなんだか、」
「なまえちゃんしかおらんのや、こないなこと出来んのは、」

 わかっとるやろ、と息の上がった声で呟かれたそれに、不覚にもどきりとする。どこからともなく現れた、ハートの形をした可愛い乙女心がじんわりと熱くなっていく。
 不意に女から乙女へと戻されたなまえは、下半身で繋がっている状態から抜け出そうと、真島の肩に手を置くと腰を持ち上げた。それを察した真島は黙ってなまえが抜け出すのを待ち、ようやく二人離れ離れになった所で、ベッドに体を預けた。セックスの余韻残る自身からゴムを引き抜き、その口をきゅっと縛り、近くのゴミ箱へ投げ入れる。

 それから真島となまえは熱冷めやらぬままの体で、自らの衣服を一枚一枚剥がし落とした。身軽そうな体の真島に寄り添う、気まぐれに顔を覗かせた乙女心は胸の奥に上手く隠しておいた、腹部が深く沈んでは大きく膨らんでの繰り返し、二人は不足がちの酸素をゆっくり取り込み、体を満たしていく。
 汗の匂いと呼吸音とぐったりとした男女の体。先にそれを見つけたのは真島で、乱暴にシーツを手繰り寄せると、自分達の果てた体を隠すようにその真白を被る。


「……ええ女は素っ裸でもええもんやなァ、」
「いい男は何も着なくても男前なんですね、」

 真白の薄い影の中に閉じ込められたまま、真島となまえは互いにじゃれ合い、噛み付き合っている。

「次はどんな服装でします?…ふふ、それとも次はありませんか。」
「今日ので、意外となまえちゃんが乗り気っちゅうのがわかったんや。次やらん訳ないやろが。」
「じゃあ、何着ましょうか。ナース服?それともメイド服?」
「いや、なまえちゃんが着るとは限らんでぇ?」

 え、もしかして真島さんも着るんですか…?!と驚いた反応をすれば、なんや!その反応は!こないな面白そうなモン、俺がやってもええやろが!と思い切り強い主張で噛み付かれてしまった。

「わ、わたし、そう言うの得意じゃないんで……!」
「いいや、なまえちゃんも好きになる筈や。俺にはわかんねん、」
「そんなこと言われたって……!無理なものは……!」
「今どうこう言っても埒が明かへん。次、いつもより早めに予定立てといたるから、また近い内に会うてくれや。なァ……?」

 にぃっと白い歯を覗かせた真島が変な扉を開けてしまったように思えて、なまえは酷く困惑した。その筈なのに何故だろう、真島がどんな格好をして自分の前に現れてくれるのか、興味を持つ自分がいる。


「ええか、なまえちゃん。忘れんといてや。」

 真島が不意にぼやいたその言葉から、女らしさの片鱗を見た。いや、まさか、さすがに、それはない、と思いたい。語尾にハートマークが付いていてもおかしくない、その声が耳から離れず、不格好な真島の女装が頭に浮かび、あまりの恐ろしさに体が震えた。



|イメージプレイ・ウィズ・コスチュームガール|


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