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新学期の始まる1日前に私はホグワーツに戻った。偶然汽車でハーマイオニーと乗り合わせたのは幸運かもしれない。互いにクリスマスの出来事を一から全て話した。最初、ハーマイオニーはむっと顔を顰めていたけれど話を後半まで聞くと表情を緩めた。ハーマイオニーの住んでいるマグル界の話は私の持ってきた話題の数十倍も面白かった。ハーマイオニーの両親は歯医者という歯を治すお仕事をしているらしい。歯に病気があるだなんて知らなかった。
「つまんない」
「しっ、後で構ってあげるわ」
ハーマイオニーとロンはチェスの真っ最中で私に中々構ってくれない。家が恋しくてうずうずするし、暇で仕方ない。暇潰しに談話室を転がっても誰も気にかけない。要するに空気だ。
「退屈なら兄貴達のところに行けよ。ナマエに会えないって寂しがってたぜ」
「それ、悪戯する相手がいなくて退屈なだけでしょ」
あの双子の元だけには絶対行かない。次は豚に変身させられてしまうのではないかという恐怖で身震いする。
何をしようかと考えているとようやくハリーがクィディッチの練習から戻ってきた。けれど、顔色がとても悲惨だった。何があったんだろう。ハリーは周りに警戒して小声で話した。何でも、スネイプ先生がクィディッチの審判をやりたいと言い出したらしい。
「どうする?私、ハリーの足折ろうか?」
「どうしてナマエは真顔なのかな」
シーカーの補欠はいない。もしハリーの足を折ればシーカーの代役がいないグリフィンドールは試合に出れなくなってしまうのだとか。でも、このままハリーが出場して怪我を負わないとは言い切れない。要注意人物のスネイプ先生が審判をすれば理不尽な判定が下り、スリザリンの勝利というのがオチだ。
「あれ、ネビル?」
両足がくっついたまま談話室へ上がったネビル。ウサギ跳びにしても凄い根性だ。私なら無理、絶対にめげる。談話室にいた全員が爆笑したけれどハーマイオニーだけはネビルの呪いを解き、介抱して椅子に座らせた。やっぱりハーマイオニーはそこら辺の凡人とは違うんだなあ。
そしてネビルの第一声。「マルフォイが」。せっかく見直したのに。ハーマイオニーに鼻高々マルフォイの株を上げた私は赤っ恥だ。
「これ以上面倒はイヤだ」
「ネビル、マルフォイに立ち向かわなきゃ駄目だよ」
ネビルはいつだって臆病だ。マルフォイなんてそこら辺のいじめっ子と変わりない。ネビルがちょっと勇気を出せばちょちょいのちょいなのに。やられっぱなしなのは見ていてもやもやする。
「マルフォイが10人束になったって君には及ばないよ。組分け帽子に選ばれて君はグリフィンドールに入ったんだろう?マルフォイはどうだい?腐れスリザリンに入れられたよ」
ハリーの言う事が尤もだ。腐れスリザリンはちょっと……うん、アレだけどマルフォイなら大丈夫。ちょっと痛い目遭わせるくらいならいける。両脇のデカブツはわからないけど。私だって彼を転ばせる事が出来たんだから。でも、マルフォイも根は良い子だろうしあまり暴力的な手は使いたくない、なんて。
「見つけたぞ!」
かれこれ頭を回転させている合間にネビルは姿を消していた。その代わりにハリーがロンとハーマイオニーに目を輝かせて何かを見せていた。多分、蛙チョコについている「有名魔法使いカード」だ。でも何故そのカードにこんな大袈裟な反応を示すのか分からなかった。
「何かあるの?」なんて聞けなかった。3人のテリトリーに近寄れない。少し仲間外れみたいで寂しい。今のハリー達と私には距離があるような気がして、でもそれを妬む自分に嫌気が差して談話室から寮へすぐさま逃げ込んだ。
20171105