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「よくもそんな」何故こんな事になってしまったのだろう。そもそも何がきっかけだったのか。私にはわからない。それはその場に居合わせた彼らしか知らない。ただ私は、彼が吐いたその一言に振り切れてしまった。その言葉は口にして良いものではなく、この魔法界のみ共通するスラング。
「本当に最低、見損なった」
ハーマイオニーを「穢れた血」と。眩い輝きを放つダイヤモンドのピアスにも嫌気が差した。過去のハリーやロンのように手を上げる気にもならない。感情が昂って、身体の震えを抑えるので精一杯だった。きっとどこかで信じていた。彼が、本当は優しい少年である事を。私はずっと、信じていたのに。
「で、僕のところに来たわけ?」
「うん」
「捨てられた子犬みたいな顔」
「……うん」
「ドラコは一度波に乗ると制止かけられるまで止まらないからね」
「でも彼、ハーマイオニーに」
「その言葉を口にしたドラコは軽率だけど、ナマエは何も思い悩む必要はない。彼奴もいずれ気付く、自分の過ちに」
セオは私よりも、2年生の誰よりも大人だ。困惑している私に対して彼は、至って冷静。他人事というのもあるけれど、セオは素っ気なくとも親身に話を聞いてくれる。そんな彼だから私は、彼を頼ってここにいる。
「やっぱりセオが友達で良かったなあ」
「いきなり気持ち悪い」
「そんなつれないこと言わないでよ」
ハーマイオニー、大丈夫かな。ハリーとロンも驚かせちゃっただろうし、早く3人の元へ行かないと。ありとあらゆる教室を巡り、玄関でようやく私は3人と対面した。
「やっと見つけ……ロン、どうしたの」
「マルフォイに魔法かけたら逆噴射で自分にかかっちゃったのよ」
「うぷっ、ごぼっ」
口からとめどなくナメクジを吐き出すロンと、彼を介抱するハリー、そしてそんなロンに呆れたような目を向けるハーマイオニー。彼女は気にも止めていない様子。少し、安心した。もし号泣なんて事になっていたら私はスリザリン寮に乗り込むだろう。
「ナマエ、さっきはありがとう」
「ごめんね、勝手に乱入しちゃって」
「ナマエは……おえっ、悪くないさ…マルフォイのやつ、度肝抜かして何も反論出来なかったし」
「ロンの言う通りよ。私は全く気にしていないし、ナマエやロンのお陰で清々したもの」
だからそんなに思い悩まないで、と優しく掌を包むハーマイオニーに私はちゃんと笑えていただろうか。未だわだかまりは晴れない。
20171106