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「スネイプ先生」「何かね」
「私は何故ここでペンを握っているのでしょう」
「能力が平均に行き届いていない貴様のためにわざわざ我輩が補習開いたのだ。何か異論は?」
「全くもってございません」
そりゃ誰だって得意不得意はあるだろうし、私だけに限られた事ではない。ただ、たまたま魔法薬学の成績が皆より劣っていただけだ。だから特別のお呼び出しなんて珍しくない。
「先生、私の両親を知ってますか?」
スネイプ先生の前でよくも関係のない話を切り出せたと思う。それはきっと、いつもより雰囲気が堅くなかったから。スネイプ先生は個人だと意外にも話せない相手ではない。
「それはどちらかね?」
「え?どっちって……私、パパの事が」
「知らんのか、貴様は」
「はい?」
「まだ知らなくとも良い。いずれ理解する」
さっきとは打って変わって嘲笑うかのように私を見下すスネイプ先生。その瞳の奥はまるで宇宙のように果てが見えなくて、とても寂しい。この人は私の何を知っているんだろう。
待ちに待ったハロウィーンがやって来た。ハリー達はあのほとんど首無しニックにパーティーの招待を受けたらしく、私も誘われたけど流石に死人のパーティーなんて縁起でもないので遠慮した。ロンやハーマイオニーも行ってしまったのでやっぱり少し寂しい。
「ポッター達はいないのか?」
「マルフォイには関係ないよ」
ハリー達と離れると厄介なやつらに絡まれるのがお決まりのパターン。グリフィンドールの席で大人しく座っていれば良かった。私もつくづく運が悪い。
「僕は謝らないからな」
「そんな事を言いに来たの?」
「やつらと君が友達であろうと、僕には関係ない」
「そう、あなたには関係ない。だから口出ししないで」
正直、マルフォイが反省していれば私もまた普通に口を利いてあげようとは思った。けれど本人がこの様子なら反省も何もない。放っておくのが妥当だ。
「ナマエ!」
「私の名前を呼ばないで!」
大広間によく響いた。そのせいで先生も、生徒も、私達に注目している。この気まずい空気から逃げ出したくて私はマルフォイを廊下に連れ出した。
「私、信じてたの。マルフォイとなら友達になれるんじゃないかって」
クリスマスパーティーで彼の気持ちに触れたから。私は淡い可能性を見出した。きっと彼とならセオと同様、寮の境界を越えて友達になれると。最初から淡い可能性だったからこそ大きな期待はしていなかったけれど。
「でも無理だなあ。私辛いよ、マルフォイが本当は良い人だってわかっていても、あなたがトラブルを起こせば私はあなたを責める立場にいなきゃならないから」
ハーマイオニーの件も、私はいっぱいいっぱいだった。口ではハリー達を守っていても、心の中ではマルフォイも気がかりで。3人の中でマルフォイは嫌なやつだったけれど、覆してみせたかった。何度も何度もジレンマに陥った。
「もう諦めるよ」
だって疲れちゃったもん。私は私なりに力を尽くしたし、マルフォイで思い悩んで時間を無駄にするのは嫌だ。だから私は「マルフォイはスリザリン、私達はグリフィンドール」といい加減を区切りをつけなければいけない。それがきっと正しかったのだ。無駄に張り切っていたのは私だけ。
「ナマエ、僕は」
マルフォイの声を遮って私は大広間へ戻った。廊下と違って、大広間は飾りは煌びやか過ぎて目がちかちかした。少し気晴らしにケーキ食べよう。せっかくのハロウィーンだ、もっと楽しまないと。
「――僕は、僕は君と、」
友達になりたかったんだ。
20171106