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先日のトロール事件から私達の距離は一気に縮まった。因みに私達というのはハーマイオニー、ハリー、ロンが含まれている。結局彼女を泣かせた犯人は2人だということが発覚し、流石の私も黙っていられず平手打ちをお見舞いしてやった。「僕らも反省してるんだ。でも言ったのはロンだよ」
「僕に全部押し付けるのかいハリー!ひどいじゃないか!」
2人と仲良くなって気付いたことがある。私の憧れていたハリー・ポッターという人物はハーマイオニーの言う通り、思っているほど「すごい」男の子ではなくて、たまに冗談を言ったり子供っぽいことでロンと言い合ったり、私と同じ普通の魔法使いだった。それと、ロンはとてもお調子者。すぐふざけたことを言ってハーマイオニーに怒られる。上の学年に双子のお兄さんがいるけどその2人に悪戯でいじられるし(私も巻き込まれる)、更に上のお兄さんは品行方正な模範生なので双子と一緒になって怒られていたりする。
「でも僕、まさかナマエと友達になれると思わなかった」
「どうして?」
「だって君……半ヴィーラだろ?そりゃもう、みんな君に興味があるよ。けど」
「けど?」
「みんなあなたの目が怖いんですって」
「僕はそこまで言ってないだろ!」
「ヴィーラってなに?」
「半鳥人のことさ。とにかく美しいんだ、見たことないけど」
「ナマエはその半鳥人と、ヒトの間に生まれたの?」
「ハーフじゃなくてクォーターだけどね」
ヴィーラと魔法使いの間に生まれた父と、魔女の母から生まれた私は昔から奇異な目を向けられてきた。それはヴィーラのクォーターであるという理由よりも、この赤い眼のせいではあるけども。まるで血のようだと人は誹り、それでも両親はルビーのようだと褒め称えた。
「私、トイレ行ってくるね」
「大丈夫?迷子にならない?」
「もう入学してふた月だよ?」
「それならいいけど、遅刻しないようにね」
3人に別れを告げ、慌てて廊下を駆ける。この広い城ではトイレに辿り着くのも一苦労だ。
「ここどこだろう」
そしてまさかの迷子になった。見知らない塔に迷い込んでしまったようだ。廊下には人っ子ひとりおらず、誰かに助けを求めることも出来ない。
「うう、だれかあ」
私ひとりの声が木霊する。ゴーストさえもいないなんてことがあるのか。授業は確実に遅刻だし、誰にも遭遇出来ないなんて辛すぎる。
「どうしよう…」
「何してるの」
「ファッ」
「変な声出さないで」
身体が跳ねるほど驚いて振り返るとスリザリンの男の子が立っていた。背丈から見るに多分同い年。何というか、憂い帯びた目をした子だった。流石スリザリン、闇が深い。
「教室、下の階でしょ。グリフィンドール生入って行ってた」
「あ、ありがとう…!」
スリザリンなのに優しい。こういう子も1人くらいいるんだなあ。何せ狡猾を掲げる寮だ、みんながみんなマルフォイみたいなやつだと思っていた。
「私、ナマエ・ミョウジ。よろしくね」
「知ってる。同じ寮のやつらが半ヴィーラで目が血の色だってよく話してた」
見れば見るほど周りとの違いが明確になる。ましてや髪や銀色で、肌は血管が透けるほど白いため一層目立つ。そう、まるで蛇のよう。
「気持ち悪いよね。なのに声かけてくれてありがとう」
「別に、そういう話興味ないから」
素っ気ないものの、私は彼が悪い人間ではないのだと確信を持った。絶対スリザリンとは相容れないと思っていたけれど、彼なら。
「ねえ、名前教えて」
「……ノット」
「ノット?」
「セオドール・ノット」
気怠げに声を発しても律儀に答えてくれる彼はやはり優しい。ハーマイオニーに話したらびっくりされるだろうなあ。でも怒られちゃうかな。スリザリンあんまり好きじゃないし。
「セオドール…セオね!本当にありがとう、今度またお話しようね」
「授業行かなくていいの」
「あ、忘れてた…!じゃ、じゃあまたね!」
セオに手を振って階段を降りていく。振り返してこそくれなかったけれど姿が見えなくなるまではじっと私を見てくれていた。さあ、先生には何て言い訳をしよう。減点という文字が頭をよぎる。ハーマイオニーの鬼のような恐ろしい形相を思い浮かべながら私は意を決して教室に入って行った。
20171104