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「あらナマエ、随分弾けた髪型ね。ハリーの初試合だから気合いを入れたの?」「うん、まあね。後ろの人見えなかったらごめんなさい」
「気合い入れすぎだろ」
クィディッチの試合が始まった。私はハーマイオニー、ロンと一緒にハリーがよく見える特等席を取っていた。視界に選手ではなく大男が立ちはだかったと思えばハグリッドが観戦に来ていた。隣に詰めたらスペースが大分なくなった気がする。
試合開始直後、スニッチを狙ってハリーとスリザリンのシーカーが接戦を繰り広げる。後少しというところでスリザリンのキャプテンがハリーを箒から弾き飛ばした。野次の嵐がスリザリンに向けられる。当たり前だ。
「………」
「杖をしまいなさい杖を」
手が反射的に動いただけだ。決してスリザリンのキャプテンに悪戯しようだなんて考えていない。それよりもハリーがまたバランス崩している。箒、故障したのかな。大丈夫かな。
「思った通りだわ」
ハーマイオニーが双眼鏡で向かい側の観客席を見ていた。双眼鏡をひったくってスリザリンの席を見ると何やらスネイプ先生の口がもごもごと動いている。視線の先は勿論、ハリーだ。ロンが私から双眼鏡を奪ったため、それ以外は何もわからなかった。
「僕達、どうすりゃ良いんだ?」
「私に任せて」
ハーマイオニーは観客席を離れ、スリザリンの席へ潜っていった。一方ハリーはというと、先程よりも箒の暴走が悪化して掴まるので精一杯だった。確かにスネイプ先生は底意地が悪いけれどまさかクィディッチの試合でハリーに手を出すだなんて思ってもみなかった。ハリーの心配をするグリフィンドールチームを余所にスリザリンが加点していく。
「あ、燃えた」
スネイプ先生のマントが燃えている。直後ハーマイオニーは戻ってきた。ハリーも体勢を持ち直している。なるほど、ハーマイオニーを敵に回したら怖い。
その後、ハリーはスニッチを獲得した。見事グリフィンドールの勝利で試合は終了し、寮では勝利を祝して皆が祭りのように騒いでいた。そしてその輪に入らず廊下をとぼとぼ歩くのが私である。ハリー達はハグリッドの小屋へ行ってしまった。
「はあ」
「物憂げな溜息じゃのう、ミス・ミョウジ」
アルバス・ダンブルドア。蛙チョコの偉大な魔法使いのカードとして選ばれている1人であり、私達の校長先生。それよりも名前を覚えられていることに驚いた。一言も話したことがないのに。
「な、名前覚えてるんですね…」
「無論、全校生徒の名を知り得ておる。皆我が子のようなものじゃ」
あまりにも眩しすぎる。まるで現代のイエス・キリスト。眼鏡の奥で何を考えているのか想像がつかないけれど多分この人より強い魔法使いなんていないと思う。
「君はとても綺麗な瞳をしておる」
「え?」
「ここへ入学してから気にしておったじゃろう、己が皆と違うものだと」
「すごい、何でも知ってるなんて」
魔法使いを極めると読心術も扱えるようになるのだろうか。開心術があるという話はパパから聞いたことがあるけれど校長先生は魔法を使わずに私の心の内を読み取ってしまった。もうこの人の存在そのものが魔法なのでは。
「君は君以外の何者にもなり得ない。自信を持ちなさい、ナマエ。わしは確と君を見ておる」
アイスブルーの瞳に私が写る。思わず吸い込まれてしまいそうだ。じんわり、涙が滲んだのは爛々と光る瞳に瞬きするのを忘れてしまったからに違いない。
20171105