幼馴染みがいた。いつもひよこみたいにひっついてきて可愛いやつだった。大人しくてあまり自分の気持ちを口にしないせいか色んなやつからパシリに使われることもあった。

「またやらされてんのかよ」
「違うよ、私が良いって言ったから」
「しゃあねーな、俺も手伝ってやるぜ」


そんでもってそれに目をつけた学園の王様がいた。テニス部の先輩を見事に全員打ちのめして部長の座を勝ち取った一年、跡部だ。最初は俺達も気付かなかった。いや、気付いてやれなかった。きっとあいつも俺達を気遣って言えなかったんだと思う。

「おい跡部!いつからあいつをいじめてた?あ?早く言えよ!」
「何を熱くなってやがる。別にいじめちゃいねえよ。からかってるだけだ」
「何も言い返さないのをわかってるからだろ…?いいか、もうあいつに近付くんじゃねーぞ」


宍戸が跡部にブチ切れて一週間後くらいにあいつは学校から消えた。両親が海外へ転勤するという理由だった。その時にくれた手紙を今でも肌身離さず持っている。そこには俺達への感謝と、謝罪が記されていた。跡部のことは何一つ書かれていなかった。

岳人へ
いつも優しくしてくれてありがとう。岳人達と一緒にいた毎日は本当に楽しかった。私は弱虫だから女の子達に仕事を押し付けられた時にも三人は必ず助けてくれたよね。本当に本当にありがとう、そしてごめんなさい。
三年後、必ず戻って来ます。絶対に生まれ変わるから。
名前より


そしてその言葉通り、名前は明日戻ってくる。ポストカードが届いたのだ。「もう昔の私じゃないよ」と、一言だけ添えられて。

20180106
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