帰国した名前の容姿はあまりにも変わりすぎていた。元から可愛い顔はしてるやつだったけど、それが全面に引き出されてどいつもこいつも名前を二度は見た。いや、誰もが目を離せない状況だ。
「三人ともわざわざ迎えに来てくれてありがとう」
「おっかえりー名前!めーっちゃ可愛くなってんじゃん!俺、びっくりしたC!」
「そんなことないわ。ジローこそ前よりも顔付きが男の子らしくなったんじゃない?」
「ええ?そうかなあ」
二人が和気藹々と話している横で俺と宍戸は固まっていた。名前の変わりようについていけていない。ぞっとするくらい、美しかった。こいつの動作一つ一つに外野が反応する。普通じゃあり得ないことだ。
「岳人も、亮も、『お帰り』は言ってくれないの?」
「え、あ…ああ、おう。お帰り、名前」
「お帰り…何か、別人みたいだな」
「そう?それなら、三年間向こうで勉強したかいがあったかも」
名前は、こんな華やかに笑うやつだったか。いつも恥ずかしそうに隠れて笑って、俺達が引っ張ってやってたのに、全部嘘みたいだ。一体向こうで何があったのか。
「先生からクラスは伝えられているけど、亮達とは離れ離れみたい。F組だから遊びに来てね」
「また一緒に弁当食べよーよ!昔みたいにさ!」
「そうね、昔みたいに」
「昔みたいに」。本当に俺達は昔のままだろうか。この疑念をなくして名前と接することは出来るのだろうか。
「そろそろ行かなきゃ。パパ達が待ってるの」
「おう!また学校でね〜!」
緩くウェーブがかかった短い髪を靡かせて名前は颯爽と歩いていく。雰囲気すら別物だ。それでもあいつは俺達の幼馴染みの名前で、ジローなんか何の疑いもなく接しているのだから俺達も受け入れるべきなのだろう。
「なあ宍戸」
「ん?どうした、岳人」
「……やっぱ何でもない」
こいつだって言わなくてもわかってるはずだ。小さくなっていく名前を呆然と眺めながら、俺達もまた踵を返す。
「名前は昔と変わらないなあ」
「え?」
「余裕ぶってるとこ。本当はあいつを見返すために帰国したくせに」
見返したいあいつ。言わずもがな俺は理解した。そして思い出した。名前はあいつが好きで、その想いを見事本人に踏み躙られた、三年前のあの日を。
20180106
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