ねたちょう

▼2017/08/29:無題

新宿のアサシン
※真名バレあり
FGOの泣き虫マスター設定



人が多い場所は苦手だ。周りの視線が気になるし、その視線を感じると悪意のないものでも責められているように感じてしまう。それは彼女の生い立ちのせいだ。
俯きながら歩く彼女を見下ろして新宿のアサシンは目を細める。

「マスター、大丈夫かい?」
「えっ……あ、……うん、大丈夫」

突然声をかけられてびくりと肩を揺らす。
この人混みでもアサシンの声はよく通った。そして何故か、とても落ち着く。
小さく息を吐いてアサシンを見上げる。さっきまでの感情はだいぶ消えていて、随分と楽になった。

「ありがとう、つばめちゃん」

つばめちゃん、と彼を呼ぶのは他に誰も居ないだろう。燕青だから、つばめちゃん。初めてそう呼ばれた時は反応が出来なかった。いやだから、ではなく、このマスターが人にあだ名を付けられるようなタイプだとは思っていなかったのだ。

「怖いなら俺の手を握っててくれ。アンタに怖い思いはさせない」
「ありがとう……つばめちゃんが居てくれるから、大丈夫だよ」

きゅっと手を握ってくるマスターの頭をぽんぽんと撫でる。穏やかな顔をしているところを見ると、本当に大丈夫らしい。彼女は嘘が得意ではないからよくわかる。

「つばめちゃんの手は、あったかい」

頬を染めて笑う彼女を見てどきりと心臓が音を立てる。あまり笑う子ではないからか、その笑顔が自分だけに向けられていると思うと嬉しいものだ。
熱を帯びていく顔を隠すように、アサシンは一歩踏み出した。繋いだ手は、離さないまま。

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