小ネタ帳
此処は、お話に昇華出来なかった小ネタや、これからお話に昇華するかもしれないネタ達を書き留めた、所謂ネタ置き場です。主に、管理人の覚え書き処。名前変換物は*で表記。鍵付きについてはインフォページ参照。
▽夜遅くの訪問者。
コナン長編夢ネタで没ネタ。夢主の黒の組織員バレ案。
沖矢さん宅に突撃訪問するという展開。
しかも、組織のメンバーと邂逅後というもの(ベル姉に成人した事祝われて酒飲んだ=酔ってるor変装したまま)。
深夜遅くに工藤邸チャイムを連打するという迷惑極まりない流れで始まる。
ぶっちゃけ、酒は飲んでも呑まれるなって感じの空気。
メモってたの見て流石にこの展開は無いわと思ったが、かなり書き切ってたので供養。
色々と稚拙過ぎたので、多少部分加筆修正済み。
あんまりに長かったので追記に折り込んだ。
(※一応ネタバレみたいな展開なので。)
↓以下、没案(長い)。
『ちょっとぉ〜沖矢さぁんっ、居るんでしょ〜…?出てきてくださいよ〜っ。開けてくださぁ〜いっ。』
妙に間延びした口調に、執拗に開けろと連呼する声。
聞き覚えのある声に、眠りかけていた彼は煩わしげにその身を起こす。
気怠げに玄関の明かりを点け、小言を漏らしながら扉を開ける。
「…誰ですか?こんな遅い時間に、今何時だと思って………。」
そして、ドアを開けた先に立っていた人物を見て、驚愕した。
『あ…っ、やっと開いたぁ〜!もう、遅いですよ沖矢さぁん…っ!』
「………あの、何方様ですか…?」
当然の如く、眉間に皺を寄せて、アンタなんて知り合いウチには居ませんがアピールをする。
それもその筈…。
何たって今の彼女は、変装しているとは言え、酒に酔っているせいか、普段外面で使うトーンで喋っているからだ。
それも、かなり怪しい感じで。
しかし、彼は彼女の内情を探って知っている為、敢えて初対面のように取り繕った。
『ふぇ……?にゃに言っちゃってんですか…?私ですよ、わぁたーし!もー、寝惚けてんですかぁ〜?あははっ、やだなぁ…。あ、取り敢えずお邪魔しまぁーすっ。』
「えっ、あ、ちょっと…!何勝手に上がり込んでるんですか…っ!!」
そう言って彼女の腕を掴み、引き止める。
『むぅ〜…、何で引き止めるんですかぁ〜?私寝たいんですけど…。』
「それなら、ご自分の家に帰ってからにしてください…!」
『む〜…っ。……あぁ、もしかしてアレか。まだ変装したまんまだったから分かんないんだ…。忘れてた忘れてた。』
トロンと半開きの状態の目で彼の腕から離れると、その場で勢い良く顔のマスクを剥ぎ取った。
『ぬ〜ん、これで私が**って分かりましたよね?沖矢さん…っ!』
にへら、と力の抜けた笑みを浮かべて見上げてくる彼女。
自ら変装を解き、正体を晒してきた衝撃に、無言でそれを見やる沖矢。
気のせいか、呆れの溜め息を吐いているが、彼女はふにゃふにゃとしていて全く気付かない。
そして、そこへ更なる爆弾を投下する**なのである。
『沖矢さんって…実は、誰かの変装した姿だったりしませんよね…?』
「ッ………!?」
突然のカミングアウトに、事実であるが為に下手に言葉を発せない沖矢。
いつもは閉じている瞳の片目を開き、普段は隠している鋭さをチラつかせる。
『あ…これは別に尋問とかそんなんじゃないんで。警戒しないでください…。単に、私の一人言ですから〜。』
ひらひらと無警戒に手を振り安心させようとしているが、彼からしたら全くの逆効果であるのを分かっていない。
『沖矢さんって…もしかして、昔、私と逢った事のある人なんじゃないですかね…?ほら…以前話した、全身真っ黒な黒髪長髪の隈の有る人です。あの人の名前…すっかり忘れちゃってて、つい最近思い出したんですけど…。何で忘れてたんだろうって思うくらい、優しくしてもらったのになぁ…。それでですね、その人の名前はやっぱりウイスキーから来てる名前でしてね……!』
酔っているせいか、いつもならこんなに陽気に饒舌に話す事などしない彼女は、ただ一人で喋り続ける。
彼も、いつしかその言葉を黙って聞き、何かを期待して待っているようだった。
『その人の名前は…、確か“ライ”って言うんですよね…。でも、きっと、それは本名じゃないって分かってます。私が本人から直接聞いた名前が、その名前だっただけなので……。』
「……………。」
『先日、貴方からお借りした服やマフラーから香った匂いが、凄く懐かしかったんです…。あの、微かに香る煙草の匂いが………あの頃、その“ライ”って人から香ってた匂いと同じだったから。』
ふにゃりと緩んだ顔は、少し幼げに見えて…。
彼女の心情を表しているかのようだった。
**は彼の側へ寄ると、つい…っ、と袖の端を掴み笑った。
『…何だかそっくりなんですよね、貴方と。えへへ………っ。何だか懐かしいなぁ…。』
まるで、ずっと探していたと言わんばかりの嬉しそうな笑みを浮かべてにこにことするが…ふと、その表情を暗くさせた**は俯いた。
『もう…何処にも行かないでくださいね。父さんも居なくて、貴方も居なければ、私はちっぽけで何も出来ない…。……それに、あの時のような絶望は、もう二度としたくないです………。』
そう呟いた彼女は、今にも泣きそうな顔をしていた。
だが、縋り付くように彼の腕に頭を押し付けてきた為、彼からは俯いていてよく見えない。
しかしながら、急に落とされたトーンと袖を握り締める掌から、並々の想いを感じ取る事は出来よう。
彼は、ただ無言で彼女を見遣るだけだった。
―ふと、そこで力尽きたのか。
睡魔が限界値を迎えた彼女は、酔いもさながら意識を途切れさせ、フラリと身体を傾がせるとそのまま崩れ落ちた。
だが、完全に崩れ落ちる前に、彼がその身を受け止める。
受け止めて、身体を仰向けに支え直すと、うっすらと眦に涙を滲ませているのが分かった。
徐に自身の首元へ手をやると、小さな機械音が響いた。
「―…全く、君は昔から世話が焼けるな…。」
彼の喉から発せられた声は、いつも聞くものとは別物の声だった。
それは、躰の奥に低く響くような、そんな声。
それでいて、何処か呆れを含んだ、優しげな声音であった。
沖矢昴という名の皮を被った彼は、彼女を両手で抱え直し、しっかりと自身の腕に抱き込むと。
彼女を寝かしてやる為、ベッドのある寝室へと静かに運んでいくのだった。
その背が語るのは、何か強い意志を固めたような、そんな雰囲気だったと言う。
(終わり。)
2019/08/19(09:40)
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