小ネタ帳
此処は、お話に昇華出来なかった小ネタや、これからお話に昇華するかもしれないネタ達を書き留めた、所謂ネタ置き場です。主に、管理人の覚え書き処。名前変換物は*で表記。鍵付きについてはインフォページ参照。
▽蝕む夢。
サブタイは夢見と心。刀剣長編ネタで、今後使おうかというつもりでメモってた産物。
しかし、これじゃあまりにも黒本丸時代出身組の扱いが酷過ぎると思ってやめた。
若干のネタバレ含むかもと思って追記に折り込んだ。
光忠視点で中途半端に終わる。
↓以下、追記より本文。
【本文】
ふと夜中に喉の渇きを感じて目が覚めた。
眠たかったから、そのまま寝ていようと思ったが、喉の渇きが無性に気になって段々と目が冴えてしまって。
仕方なく身体を起こすと、他の者を起こさないよう、音を立てぬように静かに部屋を出た。
まだ日が出るにも早い時間で、辺りは暗く、完全に夜の時間だった。
太刀であるせいか、夜はあまり目が利かないからと、さっさと用を済ませようと厨へ向かった。
手っ取り早く、水を飲んで喉を潤し終えて、息を吐く。
用も済ませたし、そのまま部屋へ戻ろうと廊下を歩いていたら、不意に視界の端で何かを捉えた気がした。
何だろうか、映した先の景色を見遣ると、暗い景色の中で動く何かを見付けた。
よく目を凝らして見てみれば、それは、主の姿だった。
こんな夜更けにどうしたのだろうか。
主は、寝巻き姿に、仕事着で着る審神者用の羽織を上から羽織っただけの薄着姿だった。
そんな格好で何処へ行くというのだろうか…?
しかも、こんな夜更けの時間に。
それも、供に誰も付けずに真夜中に本丸の外を出歩くとは、穏やかではない。
何かあったのだろうと軽く推測して、急いで部屋へと戻って自身の内番着の上着を掴むと、彼女を追って外へ出た。
夜も深い事から、空気は冷え込み、少し肌寒く感じた。
季節的に気候は暖かくなりつつあるも、まだこの時期のこの時間帯は冷え込んでいた。
そんな中、薄着でお供も付けずに外に出たなら、身体を冷やしてしまうだろう。
(あまり長い間あの格好で外に居させる訳にはいかないな…。)
早い事彼女の後を追いかけねばと、先程彼女を見かけた時に彼女が向かっていたと思しき方向へと向かう。
その方向は、彼女が初めてこの隠世に来た時の場所であり…彼女が審神者になる事と決まった、或る意味始まりの場所とも言える場所だった。
長い鳥居の続く道を抜けた先、本丸の外の外…結界の外側に抜け出た処で、彼女の姿を見付けた。
草木も眠る静かな林の中、彼女は佇んでいた。
彼女が居る場所だけ、少し開けたような場所になっていて、奥に小さな祠のような物があるのが見える。
アレは、何を祀っている祠なんだろう。
知らない筈なのに、何処か見知った気配を感じて、警戒が薄れる。
そうして、意識を再び彼女に戻して、可能な限り彼女を驚かさないように声をかけた。
「…こんな時間に一人で出歩いちゃ駄目だよ、主。」
脅かさないよう、優しく努めて声をかけたのだが、振り返った彼女は酷く怯えた様子で此方を見た。
その怯え方が尋常じゃないと悟った僕は、その場から敢えて動く事はしないまま、言葉をかけた。
「どうしたの、**ちゃん…?何かあったの?良かったら、僕に話を聞かせて欲しいな。」
そう問いかけたら、少しだけ強張っていた表情が和らいで、固まっていたのだろう身体を動かして此方を向いた。
「君が嫌なら、このまま話を聞くけれど…出来れば、君の側で聞きたいな…。駄目かい…?」
そう言うと、彼女はふるふると顔を横に振った。
近くへ行っても良い、という事だろう。
そう判断して、「そっちへ行っても良いかい…?」と問うた。
すると、こくりと一度頷いた彼女。
「じゃあ、そっちへ行くね?」と一言柔らかい声で告げてから動き出す。
側へ来ても拒絶されないところを見て、大丈夫との判断を付けて、持ってきていた上着を彼女の肩へと掛ける。
「そのままの薄着じゃ、風邪を引くから、ソレ着てて。」
無言で頷いた彼女は、何も喋らないまま、僕と視線を合わせた。
「何かな…?」
そう言って問いかけると、彼女は視線を外して、俯いた。
そして、おずおずと此方に手を伸ばすと、僕の寝巻きの浴衣を掴み、次には縋り付くようにして僕に抱き付いてきたのだった。
―朝になって起きてみたら、昨晩設置した筈の内番が変わっていた。
当番や組み合わせのダブりに気付いた主が翌朝になって変える事もあるので、特に珍しい事でもない。
しかし、今日の内番表は、見る者からして見たら、内番に組まれた者全て彼女が一から顕現させた者達だけになっていた。
中には気付く者も居ただろうが、理由を察し、敢えて口にする事は無かった。
否、口にする事が憚られる事だから皆口を噤んだのだった。
しかし、彼は…鶴さんだけは違った。
彼は、朝の支度をする僕に、挨拶をするかのように、ごく自然な様子で話しかけてきた。
「なぁ、今朝の内番についてだが…君は何か聞いてるかい?」
「いや…、僕も何も聞いてないよ…。」
「そうか…。なぁ、光坊。」
「何…?」
少しの間を空けて、再び声をかけてきた鶴さん。
僕はそちらへと顔を向けぬまま話に応じる。
「主に、何かあったか…?」
ズバリと言い当てた。
彼は、物事に聡い。
恐らく、彼女に何があったかなんて、何となく予想が付いているに違いない。
「…彼女、悪い夢見ちゃったんだって…。それで、あの内番なんだと思うよ。」
「そうか。目が覚めてしまう程、夢見が悪かったんだな…。今朝方、夜も明けぬ時間に、君外へ出ていたろう…?」
「あれ…っ、起きてたんだ…。寝てたと思ったのにな…。」
「君が最初に起きた時に、微かな物音がしたと思ってな。たぶん、喉が渇いて水でも飲みに行ったんだろうと思ってたら、何やら慌てた様子で戻ってきてはすぐにまた出て行くから、何かあったなと思ったんだ。その時だよ。」
「何だ…最初からバレてるんじゃないか。」
2019/09/27(21:07)
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