※当作品の夢主は、“一人称俺っ娘でノンバイナリーの女主”設定の子です。
※自己投影色強め且つ癖強めの傾向有り。
※尚、アニメ全話共に劇場版まで全て履修済みの上で執筆しております。
※所謂何でも許せる方向けです。
※この時点で少しでも苦手意識を持たれた方は、自己回避願います。自衛は大事。無理な閲覧はお控えくださいね。
※全て自己責任です。読むも否も貴方次第です。
※以上を踏まえた上で閲覧どうぞ。
特急列車の速度で駆けていた甲鉄城の行先前方に敵影が複数体。数は、細かい数を数えるのが面倒だったので、ざっくり大雑把に数えて、大体小隊程の規模。手分けして分担してもそこそこの数を相手にしなければならないのは目に見えて、殺る前から怠いと思った。けれども、この世を生き抜く為には殺らねば先へは通れぬ道だ。さっさと腹を括って、武器を手に、前衛部隊として敵前方へと突っ込んだ。
結果として、敵影は全て片付け終え、甲鉄城は無事に攻略難地点を突破。見事、乗員全て生還で通過と相成った。但し、特攻隊員として最前線へと駆り出されたカバネリトリオの内の一人が消耗により燃料切れを起こした。元々、燃費の悪い個体であったとは言え、軽傷レベルだろうと負傷すれば、回復にエネルギーを割かれるので、必然的に飢えが生じる。
カバネリは、人と
屍のハイブリッド――つまり、人でもなければ
屍にも成り切れない狭間に生きる半端者である。体内エネルギーが枯渇すれば、当然精神は
屍寄りへと傾き、血を欲するようになる。食欲に対する欲は素直で、その上燃費の悪さも重ねれば、貪欲と言って良い程だった。
あどけなさを残す、完全に大人へと成り切れていない半未熟な少女は、己の限界値を正確に把握して、何処までも冷静に対処すべく、安全圏まで戻ってくるなりカバネリ仲間の少年へ宣言した。
「生駒、お腹減った。血ィ、分けて」
「なっ……! お前、幾らカバネリ同士で慣れてるからって、そんなあけすけに頼む奴があるかよ……っ」
「しょうがないじゃん。俺、さっきの戦闘で結構消耗したから、鉄分足りてないのよ。俺が燃費悪いの知ってんでしょ?」
「分かった! 分かったから……! ちょっとだけ待ってろって。今、やるから、そんながっつくなっての」
「律は、お腹空き過ぎると思考回路が短略化するからねぇ〜。でも、気持ちは分かるよ! 私もカバネリだからさっ」
「ねぇ、まだァ?」
「其れが人にものを頼む態度かよ……。ほら、どうぞ」
「にゃはっ! 待ってましたん! じゃあ、遠慮無く頂きまァ〜っす!」
手短に懐に仕舞っていたナイフで片手の指先を少しだけ切ると、其処から血が滴り落ちる前に差し出した。すると、すっかり腹ペコ虫と化していた少女は、嬉しそうにその手を受け取り、血が滲み溢れてくる傷口へと口を付ける。そうして、幼い赤子が母親のお乳を飲むみたいにちうちうと吸い付き、少年の血液を摂取した。まるで、鬼か、西洋の御伽噺に出て来る吸血鬼のようだと揶揄されたとてしょうがない光景である。しかし、此れが実情であり、カバネリが生き抜く上で必要な行為であった。
少女は夢中でちろちろと舌先で指先を舐め、溢れてくる血を受け止める。ほんのちょっと舐めるだけでは飢餓が収まらないと判断するや否や、宣言通り本当に遠慮無しにちゅうちゅうと指先を吸い、美味しそうに血を飲んだ。
指先を吸われる側の立場である少年――生駒は、次第にムズムズとむず痒い心地になり、ほんのり顔を赤らめて、なるべく視線を目の前の少女から逸らそうとアッチへコッチへと彷徨わせる。其れに気付いた少女――律が、不思議そうに首を傾げて問いかけた。
「どったの、生駒? 視線うろうろさせてさァ」
「いや……その、コレ……何度経験しても慣れないっつーか、何か妙に擽ったくてざわざわして落ち着かねぇんだよ……っ」
「にゃあに〜? 生駒君たら、恥ずかしがってんにょ〜? やァね〜。この遣り取り何度目かも分かんないくらい繰り返しといて、今更生娘みてェな反応してんなよ。……さては、お前、童貞だな?」
「う、うう
五月蝿いッ!! 童貞の何が悪いってんだよ!? 童貞で悪かったな!! 嫌なら俺の血じゃなくて他の奴の血でも飲んでれば良いだろ……っ!!」
「にゃんだよ、本気にするにゃよぅ〜。生駒が童貞なら、俺かて彼氏彼女居ない歴
=年齢の喪女且つ童貞処女だわ。まっ、カバネリになってからは、んな浮ついた話諦めてっけどな。別に、童貞処女だろうが、生きる上で困る事なんか何も無いし」
喋りながらも、生駒の指先を吸う行為は止めずにちゅうちゅうと血を吸い続ける律。その一見艶めかしくも映る光景に、内心男としての本能というのか、煩悩から心揺さぶられて理性の天秤がグラグラとぐらつき、自然と生唾を飲み込み、些か呼吸も浅くなっていた。
「あの……まだ、飲む気か?」
「まァだ。全然足りにゃいから、気持ち悪いかもしんないけど、もうちょい我慢してちょ」
「いや……ぶっちゃけ気持ち悪くはないから良いんだけど……寧ろ、変な気分になってきそうだから、程々に留めてくれると有難いんだけど……っ」
「んー…………あと、ちょっとだけ」
「ッ……本当にあとちょっとだけだからな。それ以上は、俺の理性的な問題が限界を訴えてきてるから駄目だぞ」
「ん。りょーふぁい」
「吸いながら返事するな」
「食事中はなるべく喋らないのがマナーだよ、律〜?」
「む……」
もう一人のカバネリ仲間である少女こと無名より、ズレたツッコミを貰った事に対し、適当に返事をしつつ、“あとちょっとだけ”を余す事無く堪能した。
生駒の限界値が振り切れそうになる寸でで唇を離した律は、最後に傷口を労るように口付けた後、唇に付いていた血の赤をぺろり、舌先で綺麗に舐め取って満足気に告げる。
「ご馳走様でしたァ〜んっ! はぁ〜っ、美味しかった! やっぱ血を飲むなら生駒のが一番だにゃん!」
「へー、そうですか……ったく。毎度の如く容赦無ェ飲みっぷりで」
「あ、ダァイジョブダイジョブ。そこら辺、律は加減しっかりしてるから。相手が貧血にならない程度のギリギリを見極めて吸ってるからね」
「まぁ、医療行為である採血よりは少し多めくらいの量にはなるけどねん」
「
竹筒一本分を一人で賄われるよか余っ程マシではあるか……」
「そんな事したら、血ィ取った相手貧血起こして倒れちゃうから、其処は間違えないように気を付けてるよん」
「律って、本当生駒の血好きだよね? 生駒が怪我したら、真っ先に舐めに行くし」
「だって、垂らしちゃ勿体ないし……っ!」
「何処まで欲に忠実なんだよ……」
「ソレ言うたら、生駒だって武器なら何やら研究開発すんの好きやん? つまり、俺とそう変わんないし、
同じって事」
血の提供は、同じカバネリ同士である分、感謝の気持ちが半分、申し訳なさが半分ある。が、同じ穴の
狢ならば、変に遠慮するくらいなら開き直ってしまった方が潔い。そんなこんなで、律はざっくばらんな考えで仲間達から貴重な食糧を頂戴していた。
ふと、そんな折に、同じカバネリ同士という
体の会話が発生した。
「んー。でも、私、血飲むなら
鰍の味のが好きだな〜。こう、何ていうか、さっぱりしててくどくない感じって言えば良いのかな?」
「同じ女の子なら、俺は
菖蒲様もしくは雪那の方が美味しくて好きィ〜。けど、やっぱ堂々一位は生駒かな? ふふんっ。喜び
給え、君が選ばれし者だ!」
「全然嬉しくねぇ……」
「嘘。本当はちょっぴり嬉しい癖に。生駒は、す〜ぐにそうやって本音をはぐらかす。もっと素直になったら?」
「お前に言われたかねぇわ」
無名に図星を突かれた生駒は、目の前へ突き付けられていた指を憮然と振り払って、遠回しに“ブーメラン発言”である事を言い返した。しかし、生意気娘である彼女は意に介さなかったようで、勝ち気な態度を変えずにくるりと踵を返して隣の車両側へと歩いていく。
「あ〜あ、律の食事風景見てたら、何か私もお腹減ってきちゃった。
鰍に血貰えるか交渉してこよう〜っと!」
「おー、いってらっしゃ〜い」
「何かあったらすぐ呼べよー?」
「分かってるって〜」
気安い声かけに後ろ手に手を振って答えとし、そのまま重たい扉の先へと行ってしまった。気紛れな彼女の事だ。何事も無ければ、その内、最後尾車両まで戻ってくるだろう。
二人きりとなってしまった空間に、一瞬の間、沈黙が下りた。だが、寸分と経たずに口を開いた律により、短い静寂は破られる。
「生駒は? 血ィ飲まなくて平気?」
「え? 俺は、まだ一応平気……だと思う」
「何その微妙な返事。大丈夫かダイジョバナイか分かんないじゃん。小腹程度でもお腹減ってるんなら、今の内に補給しとけば?」
「水分補給のノリで言うなよ……」
「だって、ウチ等にとって血液摂取は人で言うところの水分補給と大差無いから、ほぼほぼ一緒でしょ?」
「律は、一度人としての倫理観を学び直してきた方が良い……。何かこのまま放ってたら、この先不安になるわ……」
「御託は良いから。飲むの、飲まないの、どっち?」
「……飲みます」
「最初からそう言えっての」
慣れた事とは言え、未だ内なる葛藤を抱える生駒の事など露知らず、律は慣れた手付きで懐から短刀を出し、鯉口を切って鞘から抜く。
「飲み口は何処からをご所望でっしゃろ? 首筋? それとも、掌か腕の辺りかい? お好きに決めてどうぞ」
「そんな安易に生殺与奪の権利を俺に預けてくるなよ……っ。普通に考えて頭どうかしてるぞ?」
「んな事言ったかてなァ、こちとら半端な事じゃ死なねぇ体してんだから、大概の事はどうでも良くならァよ。ちょっと切ったくれェの傷付けたところで、すぐ治っちまうしな。今更だろ?」
「どうでも良くなっちゃ駄目だろ!? 其処んところはキチッとしなきゃ、人の心まで忘れかねないだろ!!」
「生駒君は相変わらず真面目さんやにゃあ〜。この世は何処まで行こうと地獄、ならばまともな頭のまんまで居るよか、ちっとばかしイカれちまった方が後が楽だぜ。まァ、そんなこたァどうでも良いのよ。……で、どっから飲むか決めたのかい? 決めたのなら言ってくれねぇと何処切ったら良いか分かんねぇぞぃ」
「ん゙ん゙……っ、……じゃ、じゃあ、利き手じゃない方の掌で……」
「あいよ」
切る場所が決まるなり、思い切り良くバッスリ左掌へ横一文字に斬り付ける。途端、溢れてきた血がボタボタと車両内床へと落ちていく。カバネリと化してから長い身の上故か、痛覚が麻痺している所為か、見るからに痛そうな見た目の掌を何て事無さそうに向けてきた。
「ほれよ。好きなだけお飲み」
「おまッ……! こんな思い切り行く奴があるか!?」
「よく斬れるよう綺麗に研いであるから、斬れ味は抜群だよ。お陰で、この通り綺麗に斬れてる。どーよ?」
「気にするべきはソコじゃねぇ!! あーっもう……! 痕が残ったらどうするつもりだよ……っ」
「今更傷一つ増えたところで痛くも痒くもないさね。気にしなさんな」
「俺が気にするんだよ……。大事な仲間が無為に傷付くところなんて、見たくないからな……」
「あらまァ、相変わらず青いこって」
「
五月蝿ェ。噛むぞ」
「んふふ。別に噛んでも良いよ? 生駒相手なら大歓迎さね。ただの
屍相手なら即行で斬り殺してるところだけど。生駒は特別だよん? 時には大胆にガブッと勢い良く行っちゃっても良いんだぜ? お望みとあらば、首元寛げて待機してやっからよぅ」
「何でこういう時までもそんな男気溢れてんだよ……。俺でも其処までじゃねぇーわ」
「お褒めに与り光栄でしてよ」
「褒めてない褒めてない」
口では何だかんだ言いつつも、抗えない血への欲に、堪らずボタボタと血を滴らせる掌へと吸い付いた生駒。ガチで思い切りザックリスッパリ行ったので、溢れた血は腕を伝って肘にまで滴っていた。其れが床へと落ちるのが勿体ないとでも言わんばかりに、肘にまで伝った分も舐め取ろうと丁寧にぺろぺろと舌を這わす。恐らく、この光景を第三者目線で見た場合、確実に何か勘違いしそうな感じの空気が漂っていた。控えめに言って、センシティブであった。
カバネリとしての血への欲求には抗えないのか、目の前で馨しい匂いを漂わせる律の掌に、夢中になって吸い付き舐める生駒の表情は、恍惚としていた。そんな彼の表情を見て、底知れぬゾクリとした感情を覚えた律も、大概な顔付きを浮かべていた。
「美味しいかい?」
「ん……悔しいけど、凄ぇ美味い……。甘味食べた時みたいに甘い味がする…………。何か、癖になりそう」
「ふふっ……満たされるまで、たんとお飲み。飢餓症状出る前に補給しといた方が活動も鈍らなくて良いからね。おやつ感覚で飲んじゃえ飲んじゃえ」
「んっ……流石に、そんな気安く飲める訳ないだろ……。でも、お前の血……一度舐め始めると止まんなくなりそうでやばいんだよなぁ……」
「おや。そいつァ何よりなこったで。褒め言葉として受け取っておくよ」
れろ……っ、と伸ばされた舌が肘まで伝い滴り落ちそうになっている赤い血を舐め取る。何処となく色っぽい表情を浮かべる彼に
中てられて、段々と脳の芯が茹だるような、そんな感覚を覚えた。
「ふふ、……俺達、何だかイケナイ事してるみたいだねェ?」
「れ……、ッ、はぁ!? なんッ、いきなり何言い出すんだよ!?」
「にゃははっ! いや、何。君が随分とイケナイ表情をして丹念に血が止まるまで舐めそうだったモンだからさ。もしかしたら、さっきと立場が逆転してんのかなって思っただけさね。俺に構わず、続けてどうぞ」
「巫山ッッッ戯んなよ!? 今の聞いて“ハイ、そうですか”って頷けるかぁ!! お前あんまり表情に出さないから分かりにくいんだよ!! もうこれ以上は無理だってなら言えよ早く……ッ!!」
「いや、別に俺としてはこのまま続けてくれても構わなかったんだよ? だって、俺、生駒が俺の血を喜んで飲んでるところ見るの好きだもの。んふふっ! 一生懸命になってぺろぺろちゅうちゅうしてるの、かんっわい……!」
「はッ……!? な、ばッッッ……!! あ゙ーッ!!」
控えめにも
揶揄ってみたらば、何とも分かりやすい具合にテンパる様子を見せてくれた生駒。羞恥心が限界突破したのか、発狂して吠えた。其れを、終始愉快げに眺める彼女は、実に愉快犯である。
執筆日:2025.05.24
加筆修正日:2025.06.09
公開日:2025.06.10
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