寂しき独白に報いを望む


 ――聴くのなら、甘言ばかりが良いと強請ねだったの。諌み言も嫌味も陰口も、聴き厭きてしまう程に散々浴びてしまったから。ほんの一匙でも優しさの言葉が欲しかったの。

 そう、独白を零し始めた彼女の声に耳を傾けたのは、必然であった。
「こんな風に願ってしまう私は欲張りかしら……?」
 そんな事は決してないと、容易に口に出来たなら良かったのだ。けれど、上辺だけをなぞるような言葉では、もう彼女を救い上げる事は叶わないのだと知って――気付いてしまったから。
 ただ一言、短く告げるだけに留めた。
「……たった其れだけの事で我が儘なんて内に入るもんか」
 そう言って、今にも崩れて壊れてしまいそうな程儚い笑みを湛えていた彼女の身を、掻き抱くようにしておのが腕の中に引き寄せる。そうして、極僅かでも良い、自分が彼女の事を本当の意味で真剣に大事にしているのだという気持ちが伝わればと思った。
 傷付きやすい君が、少しでも報われるようにと祈って。この気持ちよどうか届いてくれと、強く強く抱き締めて。

XRIA・XRIEさんの件で復旧作業期間中、心身共に辛い事があったので、癒しを求めて・第一弾。作者の独白じみなくもなかったけれど、何かしら形として吐き出したいものがあった故に。超絶短文だけれども、どうしても書きたくて書きました。衛宮士郎は永遠の正義漢であれ。


執筆日:2023.04.21
公開日:2023.05.04
prev back next
top