猫、飼い始めました。




キタローにゃんこは、大食いかつあざと可愛い奴である。


クールで大人びた空気を纏い、気まぐれ…かと思いきや。


案外、構ってちゃんなにゃんこなのだ。


名前を呼んだら、一瞬振り返るものの、「どうでもいい。」と言ってそっぽを向く。


それも面倒なら、尻尾を揺らつかせて返事を返す。


ある夜。


寝ていたら、頭の周りをうろちょろされ、「鬱陶しいなぁ…。」と目を開けると、ぱちりと合った視線。


見つめ合う一匹と一人。


何かあるのかと思えば、何もされず。


もそもそと布団の中へ入ると、胸元辺りで落ち着き、そのまま寝入ったキタロー。



―何なんだ…?



その翌日の夜も、同じ時間帯に同じ光景が起こる。


その日は、見つめ合った後、何故かポムリと猫パンチを食らい…。


その後は、昨晩と同じ流れなのであった。


しかし、その次の翌日も、同じ光景に至る。


今度は、何故か…。



「何で起きるの…。」



とぼやかれた。



―いや、こっちが訊きたいわ。



さらに、その翌日の夜も、同じ光景。


今日は何なんだろうか…?


そう寝ぼけた頭で考えていたら、上に何かが乗っかる感触が。


言われずとも分かる。


もう連日連夜繰り返されているのだ。


正体はキタローだ。


いつもと同様に、眠たげに目を開くと、目の前にはキタローが居た。



―ほら、やっぱりだ。



なんて思っていたら、ふいに唇にふにゅりとした感触が…。


キタローのにくきゅう、もとい前足である。


何しやがんだ、この野郎。


とか考えたのも束の間。


鼻の先っちょに、チュッ、と軽く触れる程度のキスが…。



―………え?



フリーズしていると、いつも通りの調子で何も発さず、無言で布団の中へと潜り込むキタロー。


そして、何事も無かったかのように寝入っている。



―唐突のデレ期か…!!



その後、興奮してか、なかなか寝付けなかった。


全部、可愛いうちのにゃんこのせいだ。



執筆日:2016.08.07

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