バイオレット
アリリオ

2022/12/29 12:32

(loud born♂)
35歳、男性、180p
一人称:俺
二人称:君

弾き語りをしながら旅をしている男性。
目を惹くようにスパンコールの輝く派手めの衣装を着て、ふらりと立ち寄った街で何曲か演奏する。
それは戦争で必死に戦って命を落とした兵士を讃える歌だったり、身分違いの恋に駆け落ちした男女がもうどうにもならぬと心中する一部始終を語った物だったり。
ラストは大体悲しい結末に終わり、彼の歌を聴いた街の人は皆涙を流し、街は悲壮によりその日一日静まり返るという。
臨場感のあるそれらの曲はそれもそのはず、死んだ人間から直接話を聞いて詞を書き上げている。

小さい頃から霊が見る事のできるアリリオは彼らを恐れること無く、寧ろ親しい友人として彼らと接した。
生き物が死んだ後も彼らの霊は見えるため、死に対する恐れや悲しみといった感情が分からず、その死を悼む人間の感情や儀式を神秘的で美しい物と感じている。
彼の周囲を飛ぶ鳥も彼が少年の頃に飼っていた鳥で既に亡くなっており霊として彼の近くにいる。20年以上の相棒であり、新しい歌が出来た時には必ず彼に聴いてもらっている。
鳥の名はメディオ。

「さあメディオ、新作だ、聴いてくれよ」
「こんな賑やかな旅はいつぶりだろう、いや何でも無いよこっちの話だ」

メディオが亡くなった時、彼の両親は彼がさぞ落ち込んでいる事だろうとリュートを一本プレゼントした。鳥の横顔が刻印されたそれは彼の愛した相棒を悼みながらも彼が新しいことに目を向けられる様に、という想いで贈られた。
だが贈られた少年の反応は両親の予想とは反していた。
「これ、メディオの横顔なんだ?!うん!メディオも喜んでるみたい!」
彼は全く落ち込む素振りをせず、今まで通りに過ごした。
また奏でる音楽も何処で聴いたのか去年亡くなった裏の家のお婆さんの人生を語ったものだったり、聴かされた彼の両親は大いに戸惑った。
口を開けば亡くなった人や動物達のことばかりー。家の空気が陰気臭くて堪らないー。
アリリオは両親と上手くやっていけなくなっていた。
そこから、彼は寧ろ死に関して深く考える様になった。
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