prologue



 私が夢ノ咲学院を卒業してから八年経った、ある日

 高校を卒業し、大学を卒業し、流れるように大学院を出て、やっと仕事に慣れ始めたかなと実感が沸くようになった頃。仕事はもちろん大変だけど、それでも充実した毎日を送れている。趣味に仕事にときおり恋愛。身の丈にあった暮らしをそれなりに楽しんでいた。
 そんな平凡な毎日を過ごしていた私に、一通の葉書が届く。『同窓会の御案内』と書かれたそれは、私の人生を大きく変えた魔法の葉書だった。


 私の人生は、一言では言い表せられないくらい、海のように深くて広い。
 できることならこれまでのすべての記憶に思いを巡らせたいけれど、もう少しで時間になってしまうから。
だから今日は、私と泉さんが九年振りに再会してからの、ほんのちょっと胸が痛いような、それでも愛で溢れていた、そんな日々を少しだけ思い返したい。

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