「え、那須隊の女子会に私も参加していいの?」
「勿論よ!」
「朔来ると楽しいし」
「くまちゃん……!」
「朔ちゃんの作ってくるお菓子美味しいし」
「玲ちゃんはそれが目的か」
「えへ」

許す!!!
可愛いから許す!!

「じゃあ、いつも通り玲ちゃんの家に行けばいい?」
「うん!」
「よーし、じゃあお菓子作って持っていくからね」
「やった!」
「茜ちゃんも楽しみにしててね」
「わーい!朔さんのお菓子!」

と、万歳をして喜ぶ茜ちゃんプライスレス。
年下の女の子は愛でる。
これが世の常である。
こんな可愛い子の師匠だなんて羨ましいぜ、奈良坂。
私も可愛い弟子がほしい。
そもそも射手(シューター)の人口自体が少ない割に、天才が多い。
天才しかなれないポジションになっているような気がするのは私だけか。
周りがみんな天才というのはつらいもんだ。

「今日のお菓子はクッキーとオランジェットとクレームブリュレでーす」
「本当に朔さんが作ったんですか!?」
「本当に作りました!」
「ケーキ屋で売ってそう……」
「クレームブリュレって……女子力とはこういうことか」
「クレームブリュレはフライパンで作ったよ」

某レシピサイトで調べてみたら案外簡単に作れるものだと書いてあったので作ってみた。

「フライパンでクレームブリュレが作れる時代か……」
「女子力という名のアステロイドくらってる気分になるのはなんででしょうか……」
「女子力というか、私は食べることに関しては妥協しないだけだよ」

食に関しては出費は惜しまないが、服とかメイク道具とかはすごい吟味するもん。
入れ物可愛い割に高いし、中身少ないなーとか、ペラい服1枚でこの値段はねーだろ、とか。
食べ物に関しては、ローストビーフ食べてぇな。よし、ブロック肉買うか。ってかなり思い切りがいいほうである。

「それでもこの体型なの?」
「全部消費してるんですかね?」

と、茜ちゃんが首を傾げる。

「全部消費してるから、ぺたんこなんだよ」
「あっ…(察し)」

くまちゃんが察したようだ。
中学生の木虎ちゃんより無いんじゃないか、と言われる今日此頃です。

「それなのに!那須隊はみんなくびれがあって羨ましいったらありゃしない!!」

玲ちゃんとくまちゃんは憧れのプロポーションだ。
茜ちゃんは将来に期待できそうです。

「そういや小夜ちゃんは?」

いつもならパソコン起動して、ボイスチャットで参加するのに。

「今日は体調が優れないらしい」
「マジか……」

引きこもってて、倒れても気づかれないってのは怖いな。
危なかったら連絡するようにメール入れとこう。

「気を取り直して、これ食べながら映画でも見よう」

今日は私が選んできた洋画だ。
女性3人組がボスから受けた任務をしてなんか色々するやつだ。
女性3人組っていうと那須隊が浮かんでしまったので即決だった。
この前はみんなでア〇雪見たな。
ちなみにチョイスは茜ちゃんだ。
それから私たちの中でア〇雪ごっこが流行り、突然歌い出すという謎空間がたびたび作られた。

「ポップコーンは常備済みです!」
「コップとジュースも常備してます!」
「よし!」

那須隊のこういうノリの良さが私は好きだ。

「あー面白かった!」
「みんなパワフルでかっこよかったよね」
「私もあんなかっこいい女の人になりたい」
「だよね〜」

エンディングが流れ出すと、みんなで感想を言い合う。

「さて、映画も見終わったし、次は……」
「恋バナですよね!!」
「恋バナ?」
「恋バナしたいです!」

茜ちゃんはまだ中学生だもんな。
そういうのに興味ある年頃か。

「そろそろ朔は出水と付き合う気になった?」
「なってないなあ」
「じゃあ透くんとかどう?」
「何故そこで急に奈良坂が出てくるんだ?」
「透くんと結婚したら私と朔ちゃんが従兄弟同士になるから」
「いやいや、奈良坂と結婚しそうってんなら茜ちゃんでしょ。私より接点あるよ」
「えっ、私ですか!?」
「だって奈良坂が師匠なんでしょ?」
「そうですけど……私と奈良坂先輩じゃ釣り合わないっていうか……」
「そんなことない!茜ちゃんは可愛い!私が保証する!!」
「朔さぁん!」

ギュッと抱き合う私たち。
でも、茜ちゃんの純情は私が守るからね!
奈良坂に泣かされたら、私が倍にして奈良坂を泣かすからね!

「私よりも玲ちゃんとかどうなの?ほら、荒船さんとかいい感じじゃない?」
「うーん……透くんとお話することの方が多いかも」
「従兄弟強い……」
「くまちゃんは村上先輩とかどう?」

あ、鋼くんも同じB級で攻撃手(アタッカー)だもんね。
くまちゃんと接点多そう。

「来馬さんに勝てる気がしない」
「来馬さんは圧倒的菩薩だから仕方ない」

恋バナになっていないでござる。

「もう、今はこうやって女の子で集まるのが楽しいってことで良くない?」
「そうよね。私も今はくまちゃんたちがいてくれれば楽しいもの」
「私もそうかも」
「私もみんなでワイワイするのが楽しいです!」

それから、お互いの学校のこととかを夜通し話してみんなで雑魚寝した。

「寝不足……でも確かな満足」
「言えてる」
「またこうやってみんなで集まりましょうね!」
「そうね」
「今度は小夜ちゃんも一緒にね」
「朔もまたおいでね」
「うん。呼んでもらえると嬉しい」



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