「うう、ジャンケン負けた」
レディーファーストとは何だったのか。
「普通、ごみ捨てを女の子に任せる?」
いや、そもそもアイツらに女だと思われないな。
悲しい。
この前ラウンジで暴れた出水と米屋のとばっちりで私も掃除させられた。
しかも、当の本人たちはごみ捨てをとばっちりの私に任せるという。
「ぼっちでごみ捨てはかなり心にくる」
「如月」
「辻じゃん。どーしたの」
「でかい独り言が聞こえたから」
「そんな大声じゃなかったでしょ」
「俺もついて行く」
「マジ?」
「女子の目線つらいからむしろ、連れてってくれ」
「いいよ」
ごめん、吹いた。
「辻は女の子に慣れてないだけだと思うけどな」
「慣れてたらなんか変わりそう?」
「分かんない。でも氷見ちゃんは普通に話せるんでしょ?」
「うん」
「だったら慣れたら他の子とも話せるって。簡単に言えば女の子限定の人見知りみたいなもんだよ、それ」
「そうか?」
「たぶんそうだよ」
あんまり知らないけど。
だって、本当に女の子苦手なら氷見ちゃんともまともに話せなくない?
「それに辻は女の子好きでしょ?」
「は?」
「え、まさかホ……」
「ち、違う!断じて違う!」
「なら、普通に女の子が好きになれるんじゃん」
もしかしたら女の子に高い理想抱いてるっていう可能性もあるけど。
「もっと自分から話しかけてもいいんじゃない?」
「それが出来たら苦労はないな」
「それな」
辻は私が女の子に見えないとよく言うけど、今だってゴミ箱持ってくれたりして、充分女の子扱いされている気がする。
全く女の子扱いしない出水と比べたら天と地の差くらいある。
「朔」
辻に名前呼びされた!!?
「な、名前呼び……?」
「出水とかが呼んでるだろ」
「そ、そうだけど、それとはまた違うよ」
普段名前呼びしない奴に名前呼びされて混乱しない人いないだろ!
「今度から呼ぶ」
「お、おう」
「俺のことも新之助でいいから」
「分かった……?」
新之助。
長いな名前。
名字のが短いじゃん。
「つ、新之助はそれをほかの女の子にやったらもっとモテるよ、絶対」
「え……?」
「そんな絶望したような顔するなよ」
米屋はモテたくてもモテないんだぞ!!
モテない奴の気持ちを考えてやれ!
2017/03/14 加筆修正
あとがき(という名の言い訳)
辻くんが進学校に行っているのを忘れて、何故かごみ捨ての話を書いてしまいました。
なんともご都合主義なラウンジで暴れた際の罰のごみ捨てなんですが、疑問に思われた方がいらっしゃいましたら、こちらの話は書き直させていただきます。
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